コラム「透視図」

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作曲家船村徹さん死去

2017年2月21日

 豊かな情感と圧倒的な声量にいつも心を震わされている人は少なくないだろう。演歌の大御所サブちゃんこと北島三郎のことである▼道南の知内町出身。本道を代表する歌手だが、若かりしころ、デビューを目指し高校を中退してまで上京したものの芽が出ず、流しをしながら長らく食いつないでいたのは有名な話。生活に追われ希望を失いかけていたとき、才能を見いだしてくれたのが作曲家の船村徹だったという。才能にほれ込んだらとことん面倒を見るのが船村流。単に楽曲を提供されただけでなく、北島さんのように世話になったり恩を受けたりした歌手は相当多かったらしい。訃報を聞いて悲しむ人もそれだけたくさんいたということでないか▼船村さんが先週木曜、84歳で亡くなった。生涯に手掛けた楽曲は5500曲以上に上るそうだ。20歳ころに作曲活動を始めたというから、単純計算で年に80曲は作曲していたことになる。船村さん自身、くめども尽きぬ泉のような才能をお持ちだったのだろう。本道各地を舞台にした数々の名曲で北のロマンを広く内外に発信してくれたことを考えれば、北海道にとっての大恩人でもある。例えば、年末のNHK紅白歌合戦でひところ定番となっていた北島さんの「風雪ながれ旅」や、もともとは北海道の漁師がモチーフだったという鳥羽一郎さんの「兄弟船」。演歌の他にも、明るい曲調で最果ての地の寂しいイメージを塗り替えたダ・カーポの「宗谷岬」がある▼ご冥福を祈り、きょうは北島さんのデビュー曲「なみだ船」でも聴くとしようか。

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高梨沙羅WC53勝

2017年2月18日

 今も歌い継がれるフォークグループ赤い鳥の名曲に「翼をください」がある。ギター抱えて仲間と歌った人もいれば、学校の合唱コンクールのために練習した人もいよう
 ▼歌い出しはこうだ。「今 私の願いごとが叶うならば 翼がほしい この背中に鳥のように 白い翼つけてください」(1971年)。幅広い年齢層にこれだけ長く愛されているのは、誰もが一度は「翼がほしい」と夢見たことがあるからだろう。この人もたぶん、小さいころから自分の背中に翼が生えるのを夢見ていたのではないか。ノルディックスキー・ジャンプの高梨沙羅選手のことである。どうやら背中に生えてはいないものの、足には目に見える以上の大きな翼が付いているようだ
 ▼おととい、18年平昌冬季五輪プレ大会として同地で開かれていたワールドカップ(W杯)ジャンプ女子個人第18戦で優勝し、W杯男女通算最多記録53勝に並んだのである。今はまだ20歳。W杯の初出場が11年、15歳だったのだから見事というほかない。ジャンプを観戦する上での楽しみはそれぞれあろうが、K点付近で再度揚力をとらえ飛距離を伸ばす場面に興奮させられる人も少なくないのでないか。高梨選手はこの揚力をとらえる能力が際立って高いという。それに必要なのは前傾姿勢の保持。バレエで培ったバランス感覚と柔軟性が生かされているそうだ
 ▼さあW杯次戦は3月12日のノルウェー。54勝の期待もかかるが高梨選手にとっては通過点に過ぎないだろう。「この大空に翼を広げ」、どこまでも記録を伸ばしてもらいたい。

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光るものはどこへ

2017年2月17日

 子どものころ繰り返し聞いたため流行歌以上に耳に残っているのがCMソングである。共感する人も多いだろう
 ▼例えば日立製作所の「この木なんの木 気になる木」。青空の下の大きな木まで目に浮かぶ。松下電器産業(現パナソニック)の「明るいナショナル 明るいナショナル」。今でもふと口ずさんでしまう。東芝の「光る光る東芝 回る回る東芝」。特撮番組『光速エスパー』とともにくっきり記憶にある。そのかつての輝きはどこへやら。東芝は現在、光るものを失ってしまっているらしい。巨額の損失と赤字で首も回らなくなっているようだ。東芝が先日明らかにしたところによると、2016年4~12月期の損失額見通しは7125億円。米国の原子力発電事業の行き詰まりが主な原因だという
 ▼業績悪化は坂を転げ落ちるように進み、同期の連結決算も4999億円の赤字に陥っているとのこと。頼りの半導体事業の売却も先送りしたようだから、これで期末17年3月期の赤字もほぼ確定だろう。今更ながら、東日本大震災が引き金となった福島第1原発事故の影響の大きさに驚かされる。米国の安全基準も格段に厳しくなり、それが原発を主力の一つにしていた東芝の経営を直撃したわけだ
 ▼道産子だからだろう、東芝を含めた今の原子力産業が、エネルギー政策の転換と相次ぐ重大事故で閉山に追い込まれたかつての石炭産業とダブって見える。ただ、石炭の後には石油があった。原子力の後ろには有力なものが何もない。この東芝の問題、問われているのは実は日本なのではないか。

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地域の守り手

2017年2月16日

 歌人齋藤史に一首がある。「濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ」。押し流されるように戦争に向かう日本のありさまを増水になぞらえた歌という
 ▼台風も戦争に負けぬほど人々に恐れられていたということだろう。もっともそれは現代も同じ。昨年はその事実を身近に実感させられた。8月から9月にかけ相次いで本道を襲った台風が各地でインフラを破壊し、家屋や田畑を水没させたのである。被害規模は「56水害」を超え、本格的な復旧はやっとこれから。当社は11月にこの甚大な被害をもたらした台風の災害状況を記録する『引き裂かれた大地 立ち上がる建設業者』を発刊したが、残しておきたかったのは被害の実態とともに、災害に立ち向かう建設業者らの姿だったのである
 ▼自然災害が発生したとき、地域建設業がどれだけ頼りになる存在か。残念なのは、一般の方々がその重要性をさほど理解しているようには見えないことだ。いなくなって初めて気付くのでは遅すぎるのだが。杞憂(きゆう)ではない。地域建設業を取り巻く経営環境は厳しさを増している。最近、国土交通省も「地域建設業ワーキンググループ」を設置し、経営力強化に向けた検討に乗り出したと聞く。それだけ緊急性が高いということだろう。「地域の守り手」が消えると、国土保全に重大な危機が生じる
 ▼建設会社の幹部らを取材するたび驚かされるのは、彼らの持つ地域を守りたいとの強い使命感だ。泥土を除き復興の夜明けを早く迎えられるのも、そんな地域の守り手がいてこそなのである。

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第30回サラ川傑作100選

2017年2月15日

 既に新聞やテレビで幾つかの句に触れ、くすりと笑わされた人もいるのではないか。ことしも第一生命保険のサラリーマン川柳(第30回)傑作100選が決まった
 ▼「会議する準備のためにまた会議」(詠人知らず)、「守ろうと誓った嫁から身を守る」(恐妻家)。そうそう、と思わずうなずいてしまう句ばかり。今回は全国から5万5067もの作品が寄せられたらしい。ベスト10を決める投票も始まったそうだ。ことしは上司を題材にした句が目に付く。そろそろ新人を迎える時期である。参考にしたい。「生産性部長の異動で急上昇」(カクト)。胸に手を当ててみた方がいいかも。「神ってる全て裏目を出す上司」(いいだやカネタロウ)。本人はリーダーシップを発揮しているつもりなのだろうが…
 ▼「『塩』課長上司にゃいつも『神』対応」(惣兵衛)。しっかり見られてますよ。「見て学べ?どうりで部下が育たない」(ヒロシこの夜)。問題は時代なのか上司なのか部下なのか、何とも悩ましい。サラ川といえば家での立場も定番である。「『パパお風呂』入れじゃなくて掃除しろ」(家内関白)。今や一番風呂でさえなく残り湯。「けんかした家にもほしい地下空間」(カマキリ)。妻の怒りは地下にまで染み出しそう。「孫が来たポケモンいない孫帰る」(りゅうちゃん)。会社では上役だったのに家ではポケモン以下
 ▼でも実はこんな幸せなことだって少なくないはず。「『パパすきよ』娘にもらった金メダル」(三姉妹パパ)。傑作100選全作品は同社HPで見ることができる。

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