コラム「透視図」

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さて、皆さんは幾つ手にしただろう。幾つ手渡しただろうか。十四

2002年2月15日

 ▼さて、皆さんは幾つ手にしただろう。幾つ手渡しただろうか。十四日は聖バレンタインデーだった。チョコレートのことである。一八三六年のこの日、アイルランドのカトリック教徒聖バレンタインが異教徒の迫害で殉教した。欧米では愛の日とし、愛する男性にクロッカスの花などを贈る一日になった。日本ではすっかり変形し、チョコレートの贈りごっこのようになるが、楽しむ心やよし―だ。
 ▼明々白々な義理チョコであろうと、もらえば気分は悪くない。なし、はちょっと寂しい。男性陣は、おじさんも頭の隅でこの日を気に掛けたりする。女性陣は義理チョコに辟(へき)易しても、ホワイトデーでの見返りをちゃっかり期待する回収チョコをばらまきもする。それでも、男性陣はもらうことがうれしい。頭の隅でホワイトデーを気に掛けたりする。お返しのことを考えたりする。聖バレンタインは日本のかけ離れに目を覆おうが、こんなやりとりはかわいいものだ。
 ▼贈る方は見返りを期待し、贈られる方は期待に沿う。自らの懐を痛めず、人のお金で。年一度ならず、日常茶飯事で。政界のちゃっかりこそ目を覆う。国会の衆院予算委が始まり、その疑惑がまた増える。青木幹雄議員の高速道発注に絡むあっせん利得未遂疑惑、加藤紘一議員事務所代表の脱税・口利き疑惑、そこに鈴木宗男議員の新疑惑。北方四島支援の仕事を同氏とつながる会社が受注し、献金を受けるなどとか。が、である。表面化その後がまた目を覆う。政界の追求はチョコレートのように甘い。

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四百万年前の昔、人類は東アフリカで誕生した。百数十年前、彼ら

2002年2月14日

 ▼四百万年前の昔、人類は東アフリカで誕生した。百数十年前、彼らは旅立ち、シベリアを経て一万年前に米大陸に進み、南米の南端に到達した。人類は、長い年月と五万キロに及ぶ道のりを歩き通した。英国の考古学者フェイガンは祖先に最大級の賛辞を込め、この旅を「グレートジャーニー」と名付けた。探検家関野吉晴さんが完結させた「グレートジャーニー」にも、最大級の賛辞を贈るしかない。
 ▼一九九三年十二月にチリ・ナバリノ島を出発。二月十日、タンザニア・ラエトリに到着。急がず、交流しつつの八年、計五万三千キロ。関野さんはこう考えていた。祖先は、「もはや現代人には感じることのできない形で自然と触れ合っていたはず」。人類の旅は、「青年が旅で成長するように学び、考え、世界を創りあげた旅だった」…。自然とともにあった人間の本来や原点、成長…を探る。関野さんの旅は人類の旅への冒険でなく、人間再発見が眼目だった。が、何よりも彼そのものが人間の姿を示した。
 ▼人類の旅は、フランスの考古学者ボルドーに「これほど偉大な旅は人類が他の惑星にたどりつくまでありえないだろう」と言わせた。無垢(く)の自然を越えて進んだ。が、関野さんの場合、もっと難しかった。昨年の紅海横断が、イスラエル問題や領海問題等で延期になるなどした。現代の非自然なるものの壁が幾多あった。彼の旅は逆説的に人間の現在も示す…。そんな「グレートジャーニー」の一端は、十六日のフジTVの二時間番組を皮切りに紹介され出すことになっている。

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「皆さんが『三方一両損』でいこうという方針を理解した」。昨年

2002年2月13日

 ▼「皆さんが『三方一両損』でいこうという方針を理解した」。昨年十一月、医療制度改革案の政府・与党合意を見たとき、小泉首相はそう口にした。が、皆さんとは、どれだけの皆さんだったと言うのだろう。「来年四月から医療費自己負担率を三割に引き上げる」などを明記し、健康保険法改正案を今国会に提出―。それには強い抵抗が与党内に起こった。みんなが理解したわけでないのに、小泉首相は強行に走ってしまった。
 ▼小泉首相は、公的なサービスの範囲をできるだけ小さくし、国民全体の社会保険料や税などの負担を軽くすべきと考える。で、医療費の患者負担増にこだわる。が、結局は国民は負担増だ。「来年四月から」と急ぐこと、「三方一両損」と言うものの医療側にメスを入れるのは急がないこと、そこだって国民は理解しがたい。与党内の抵抗側は、こうした負担は国民全体で分かつべきと考える。で、患者負担増にいかないだけの違いだ。結局、こちら側にしたって国民は負担増だ。
 ▼昔、「三方よし」という精神と実践があった。江戸時代、近江商人は藩制の制約を超え、全国を行商して活躍した。「三方よし」とは売り手によし買い手によし世間によしで、そんな彼らの規範だった。「公共に貢献しないものを近江商人と呼ばない」とも言うほどに、彼らは利が一方に偏ることを否定して業にいそしんだ。政治こそ「三方よし」であるべきが、怠った果てに「三方一両損」という。その「三方一両損」さえ本当にそうなるか?なのだから、どうしようもない。

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欧州の単一通貨「ユーロ」が流通開始してから一カ月が過ぎた。商

2002年2月9日

 ▼欧州の単一通貨「ユーロ」が流通開始してから一カ月が過ぎた。商店が釣り銭にまごついたり、おもちゃの紙幣でのごまかしがあったり…。当初は多少の騒動が起こったが、大きな混乱はなく流通するらしい。今月いっぱいでユーロへの完全移行が果たせる見通しという。先日、ユーロ紙幣を見た。知人が持っていた。こちらはユーロもドルも使うような旅行などの予定はないが、手にはしてみたかった。
 ▼貨幣は国を象徴し、国を分ける。逆に一本化は国々をまとめる。ユーロ流通は欧州統合をより高い次元に運ぶ。参加十二カ国、三億人がユーロで一体感を強めれば、統合から連邦への道を広げもする。むろん、課題は多い。マクドナルドのハンバーガーの値段(一九九八年)を例にすれば、ポルトガル二・二ユーロ(一番安い)、フィンランド三・三ユーロ(一番高い)。歴然とする国の格差は凶ともなりうる。それでもなお、進まなければならないと取り組む。ユーロには未来をつくる意志が詰まっている。
 ▼そんな重みが加わるから、手にしてみたかったのだ。ユーロもドルも使う予定はないが、円を使う機会も乏しい。円に縁が薄いからだ、それにしても日本の新札二千円を見る回数の少ないことか。発行一年半で何度か。ユーロと対照的に、理念なくできた紙幣に理念がない日本が浮かぶ。日銀は普及へ支店での両替期間を今年十二月三十日まで一年延長したが、どうなろう。実は二千円札も手にしたくなっている今日このごろだ。ただ、こちらは単にあまりにごぶさたなので。

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米国ソルトレークシティーでの冬季五輪大会が目の前に迫った。日

2002年2月8日

 ▼米国ソルトレークシティーでの冬季五輪大会が目の前に迫った。日本時間であす九日(現地八日)、開幕する。七十七カ国・地域が参加し、選手は七競技・七十八種目で記録、メダルに挑む。参加も種目も冬季史上最多。十七日間にドラマも史上最多を見させてくれそうだ。冬の競技は雪や氷から生まれ、それらと上手に付き合う力を競うもの。夏季五輪以上に明瞭に人の美しさを見させてもくれる。
 ▼五輪は、〝平和と愛の祭典〟を掲げるが、ソルトレークシティー大会では平和と愛の祭典と相反することがかつてなく色濃く影を落とす。大会は、かつてない緊張下に開かれる。昨年の同時多発テロで、米国はテロに奮い立ち、かつまたおののく。米国人の三割は、大会でテロが起こりうると考えているという。残念ながら、厳戒態勢も史上最強となった。人が競う熱戦の輝きがあるだけで十分なのに、人が争う激戦の影がつきまとう。今回は、そこにはなくていい人の醜さを見させられてもしまう。
 ▼冬ならではの、こちらの祭典も大きく変わる。五日から開幕した「さっぽろ雪まつり」も、米国同時多発テロなどを踏まえて厳戒態勢が敷かれた。真駒内会場で、警備は過去最大規模となった。手荷物検査を行い、監視のヘリコプターが上空を飛ぶ。白い雪で美をつくりあげる世界だけでいいのに、美を壊す世界がつきまとう。人の安全のために警戒は必要な措置ではある。ただ、人はどうして人を尊ぶ一方、人を損なうか。この冬の二つの祭典にこの人の矛盾を見いだしもする。

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