コラム「透視図」

RSS

内閣支持率激減

2017年6月20日

 夏の暑さはこれからが本番だというのに、安倍政権には早くも冷たい秋風が吹き始めているようだ。いや自然の風でなく世間の風のこと
 ▼共同通信社と読売新聞社がきのう、週末に実施した世論調査の結果を発表したのだが、どちらも内閣支持率が大幅に下落しているのである。共同が前回5月調査比10.5ポイント減の44.9%、読売もやはり12ポイント減の49%というから、内閣をいささか揺さぶるくらいには強い風でないか。改正組織犯罪処罰法成立のため荒業を使ったり、加計学園問題の再調査で焦点となっている文書の実物が見つかったりと、先週は内閣の評価を下げる出来事が相次いだ。石破茂前地方創生相の言を借りれば、国民は「内閣って感じ悪いよね」との印象を持ったのだろう
 ▼読売はさらに内閣を支持できない理由についても尋ねている。最も多かったのは「首相が信頼できないから」で、48%に上ったそうだ。今回ばかりはさすがの安倍首相も「読売新聞を熟読していただきたい」とは言いにくかろう。倒産寸前の会社を立て直した近藤宣之日本レーザー社長は著書『ありえないレベルで人を大切にしたら23年間連続黒字になった仕組み』(ダイヤモンド社)で、特に留意すべき経営危機の兆候は、社長が「不振の原因を外部環境のせいにする」ことだと指摘していた
 ▼政治不信もまた同じではないか。安倍首相はこのところ自らの「正しさ」に固執するあまり、うまくいかない理由を外部に求めてばかりいた。おごれる者は久しからず。世間の冷たい風で首相は熱くなった頭を少し冷やすといい。

ページの先頭へ


薬との付き合い方

2017年6月17日

 幸いにして薬に縁のない生活をしていたのだが、最近、急性前立腺炎を患い、そういうわけにいかなくなった。この病気は前立腺が腫れて小便が出づらくなる。朝から尾ろうな話で申し訳ない
 ▼その上、高熱と全身の痛みに苦しめられるのだから難儀なことである。経験した人はよくお分かりだろう。たまらず病院に駆け込み、幾種類かの薬を処方してもらった。毎食後飲むようにとのこと。もう薬だけが頼りである。ところがこの中の鎮痛剤、病状が悪すぎるためか、なかなか効いてくれない。さあ、こうなると普段薬に縁のない人間は考えるのである。「効かないってことは量を増やしてもいいのでは」「時間を空けず飲んでも構わないかも」などなど
 ▼お笑いコンビ「インパルス」の堤下敦さんが先日、睡眠薬を飲んだ後に車を運転し、意識がもうろうとした状態で警察に見つかったという。この報を聞き、わが身を振り返り少々同情してしまった。人は切羽詰まると往々にしてまともな判断ができなくなる。ただ、重大な交通事故の危険もあったわけだから、軽率とのそしりは免れまい。堤下さんは近頃、じんましんによるかゆみでよく眠れなかったらしい。やはり切羽詰まっていたのだろう
 ▼もう一つ大きな失敗は、インターネットの「効くまでに時間がかかる」との情報を信じてしまったことである。まあ気持ちは理解できるが。いつ大病に見舞われるか分からない。ストレスの多い世の中でもある。一方でネット上には間違った情報もあふれんばかり。難儀なのは病気だけでなくこちらもである。

ページの先頭へ

阿寒摩周国立公園

2017年6月16日

 古来、アイヌ民族は生まれたばかりの赤ちゃんに名前を付けなかったそうだ。かわいい名前を付けると悪い神様に見つかってしまうからだという
 ▼名前が付くのは8歳ころ。個性や特徴も現れてきて、将来に託す希望を見極めながらの名付けもしやすくなるのだとか。例えば男の子なら「いつも獲物に出会う」を意味するトゥカンコロ、女の子なら「食べる物に不自由しない」を意味するハルコロといった具合である。そこへいくと近年幅を利かすいわゆる「キラキラネーム」などは、個性も希望もあったものではない。語感と響きだけのこと。まあ、文句を言う筋合いのことでもないが。とはいえ、やはり「名は体を表す」方が分かりやすい。人だけでなく国立公園もである
 ▼13日の環境省中央環境審議会で、阿寒国立公園の名称を「阿寒摩周国立公園」に変更することが決まったそうだ。朗報だろう。これまでは阿寒と摩周両方の努力で成功させてきた事業が、一方の名前だけで語られていたようなものだった。景勝地神ノ子池周辺も区域に加えられたという。この名称変更、今後いろいろと良い効果をもたらすのではないか。その一つがJR北海道単独で維持困難とされる釧網本線の問題である
 ▼この路線は釧路から行くと釧路湿原、阿寒(現行)両国立公園の内懐を走り、知床国立公園の入り口にいざなう。三つの国立公園を一本のローカル線で楽しめるのはここくらいだろう。個性や特徴を正しく表した「阿寒摩周」になれば認知度も上がる。知恵も試されようが、大きく育つ予感は小さくない。

ページの先頭へ


グリーンスリーブス

2017年6月15日

 若い人にはなじみがないのかもしれないが、年配の方なら「グリーンスリーブス」の曲をよくご存じなのではないか。題名にピンとこなくても、聞けば「ああ、これか」とすぐに思い出すに違いない
 ▼内容は別れてしまった緑の袖の女性への未練を歌ったもの。私は長いことあなたを愛していたのに、あなたは私を投げ捨てた。そばにいるだけで満ち足りていたのに、とこんな調子。哀感漂うイングランド民謡である。英国のメイ首相も今頃、「あなた方国民は私を投げ捨てた」とため息をつきながら、そんな自国の民謡を口ずさんでいるかもしれない。圧倒的支持を受けて就任してまだ1年もたっていないのに、急速に求心力を失っているのである
 ▼EU離脱を問う国民投票から一定の時間が過ぎ、どうやら国民の頭も少し冷えてきたらしい。メイ首相の強硬路線、いわゆる「ハード・ブレグジット」を警戒する穏健派が台頭しているのだ。その結果が、先週の英下院総選挙での与党・保守党の過半数割れである。揺れ動く人の心を、長いこと一つにとどめておくのは難しい。メイ首相はそれを実感しているだろう。とはいえ、政治が生き物なのは何も英国に限った話ではない
 ▼NHKの最新政治意識月例調査によると、6月は安倍内閣を支持する人が減り、しない人が増える結果となった。どちらも2カ月連続である。野党の攻めが功を奏したというより、近頃の内閣の少々高飛車な態度が国民の鼻についたのでないか。国民の気持ちを見誤ると、安倍首相まで「グリーンスリーブス」を歌う羽目になる。

ページの先頭へ

藤井聡太四段

2017年6月14日

 その文章からは、芳ヶ江国際ピアノコンクールでの優勝を目指して競い合う若手ピアニストたちの喜びや苦悩が痛いほど伝わってくる。といってもこれ、本当の話ではない
 ▼ことし直木賞を受賞した恩田陸さんの小説『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)である。登場するのはピアノ界のサラブレッドや一度は夢を諦めた青年、母の死の衝撃で長らく演奏ができなかった少女。皆それぞれ、絶対に負けられない理由を抱えている。もう一人、物語に大きなうねりを起こす人物がいる。それは風間塵という16歳の青年。養蜂家の父と共に各地を転々としているため家にはピアノもないのだが、ひょんなことから音楽家ホフマンに天賦の才を見いだされ、圧倒的な技術と表現力を身に付けるのである
 ▼将棋界に大きなうねりを起こしながら快進撃を続ける藤井聡太四段を見ていて、この風間青年を思い起こさずにはいられなかった。天才と呼んで差し支えあるまい。何せ小4で入門したその日に師匠の杉本昌隆七段を破ったと聞く。プロ棋士とはいえまだ14歳、中学3年生である。多感な年頃だろうに超が付くほど熱心な研究を毎日しているらしい。現在、公式戦歴代2位の25連勝中だ
 ▼恩田さんは小説で師匠ホフマンに、風間青年は「ギフト」だが「災厄」にもなると語らせていた。決めるのは皆さんだ、とも。世間の浮かれ騒ぎを見ていると、さもありなん。実力は非凡でも14歳である。絶対に負けられないとの重圧は一局ごと増していよう。天からの贈り物を台無しにしないためにも、もう少し静かに見守りたいもの。

ページの先頭へ

RSS

連載・特集記事 ~紙面から~

おとなの養生訓 おとなの養生訓
第115回は食べる量。体格よりも習慣 に影響を受けます。腹八分目よりも、 カロリーのコントロールが大切です。

はばたけわこうど2017 はばたけわこうど2017
2017年春、建設業の世界へと はばたき始めた、新入社員の 声を紹介します。

マイナス金利時代を聞く マイナス金利時代を聞く
マイナス金利政策が道内の企業や建設業に与える影響と、今後の経済動向について聞きました。