e-特集北海道新幹線

《連載》北海道新幹線 開業まで1年(上)観光客受け入れ準備が進む

2015年3月17日付

 2016年3月の北海道新幹線開業まで残り1年となった。新たな玄関口となる道南地域では、開業効果を最大限発揮しようと、観光客の受け入れ体制整備や、東北との経済交流拡大に向けた準備が盛り上がりを見せている。新函館北斗駅周辺への商業施設誘致は重要な局面を迎えた。地域の現状を追った。

 全国有数の観光地として人気を保っている函館市。開業で年間の観光客数が今より50万人ほど増える見通しから、地元関係者はこの1年、機運醸成に全力を注ぐ。市の手塚祐一新幹線対策室次長は「節目ごとのイベント開催や東北、北関東との連携事業、ポスター、のぼりの掲示を通じて開業ムードを盛り上げたい」と意気込む。

函館建協

新幹線開業のPRポスターを掲示している函館建協。
市内の多くで見かける光景だ

 市は13年に青森、弘前、八戸の各市と青函圏観光都市会議を設立。開業後に予定する仮称・青函圏博覧会の開催を契機に、函館を含む4市を周遊する旅行需要を新たに生み出そうと計画している。人口は合わせて100万人で、仙台市に並ぶ。海峡を挟んだ2つの圏域が、新幹線という新たな交通手段を得て結び付きを強めようとしている。

 渡島総合局も新幹線開業を意識した施策に力を入れる。「普及啓発・情報発進」「食・観光のブランド化」の2つを柱に道外企業へのPR活動や、首都圏の百貨店などで魅力を発信する取り組みを展開。14年4月からこれまでに道南各地の事業所や函館建設業協会など約70の企業・団体と、開業PRに向けたタイアップ協定を結んだ。民間の力を得ながら、開業ムードを一段と盛り上げようとの思いからだ。

 渡島総合局も新幹線開業を意識した施策に力を入れる。「普及啓発・情報発進」「食・観光のブランド化」の2つを柱に道外企業へのPR活動や、首都圏の百貨店などで魅力を発信する取り組みを展開。14年4月からこれまでに道南各地の事業所や函館建設業協会など約70の企業・団体と、開業PRに向けたタイアップ協定を結んだ。民間の力を得ながら、開業ムードを一段と盛り上げようとの思いからだ。

 同局新幹線推進室の高橋央明主査は「昨年10月の車両陸揚げにより、開業ムードが一気に高まった」と話す。函館市や新駅が置かれる北斗市、木古内町に広がる熱気を、いかに道南全域に広げるか。残された期間は、このための取り組みが何よりも重要になるとする。

 開業を見据えた観光商品の開発も盛んになってきた。土産物品を扱う地元の卸会社、不二屋本店が2月末に函館市内で開いた総合観光商品見本市には、パッケージにH5系車両のデザインをあしらった商品が出品された。同社の担当者は「来年の見本市は新幹線一色になるのではないか」と期待を込める。新幹線カラーのバスや市電、タクシーも見られるようになった。

 ただ、14日に開業して注目を集めている北陸とは事情が異なるのも事実だ。函館商工会議所の永沢大樹新幹線函館開業対策室長は「逆境の中での開業といわざるを得ない」と指摘する。

 北陸新幹線は金沢、富山両市の中心にある既存駅に新幹線が乗り入れるが、北海道の場合、終着の新函館北斗駅は函館市から約18km離れた北斗市に置かれる。都市の中心と新幹線の駅がここまで離れている事例は過去にない。

 永沢室長は「この点が十分に理解されないまま『道南では新幹線開業機運が盛り上がっていない』と言われる。合わせて人口100万人の金沢、富山と、周辺を含めても30万人強の函館では、開業に掛けられる資金力にも差が出る」と説明。「開業前の取り組みはもちろん重要だが、新幹線を生かして開業後の地域をどのように再構築するか考えることの方が大事だ」と強調する。

 青函トンネル内を新幹線と在来線が走る共用走行の問題も未解決だ。函館市は、JR北海道にトンネル内の高速化を求めているが、明確な答えは出ていない。開業が現実味を増すとともに、残された課題も鮮明になっている。

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