e-特集北海道新幹線

新幹線長野―金沢間開業でにぎわう北陸/「想定外」に戸惑いも

2015年9月15日付

 北陸新幹線の長野―金沢間が3月14日に延伸開業し、東京と金沢が約2時間半で結ばれてから半年を迎えた。JR西日本によると、開業から8月20日までの長野―金沢間の乗客数は約420万人で、在来線特急時代の約3倍に拡大。JTBの首都圏から北陸への個人パック旅行も4―9月(予約を含む)は前年同期の約3・3倍に増えた。沿線観光地は「想定以上のにぎわい」(北陸経済研究所)だが、課題も見え始めた。

■大盛況の金沢市

 石川県の谷本正憲知事は「ちょっと(大会や会議を)誘致し過ぎた」と、来県客の急増にうれしい悲鳴を上げる。県内シティーホテルの稼働率は、6月に大阪府と並ぶ全国トップの85.8%に達した。特に金沢市は、担当者が「金沢のブランドを過小評価していた」という盛況ぶりだ。

 名勝の兼六園の新幹線開業後5カ月間の入場者は、過去10年の平均に比べて70%増えた。中高年に加え、若い世代の人気も高まっているという。輪島市を舞台としたNHK連続テレビ小説「まれ」の影響もあり、金沢から能登地方へ足を延ばす観光客が増えている。

 黒部宇奈月温泉、富山、新高岡の3駅を抱える富山県の石井隆一知事は「金沢が目立つが、富山も相当健闘している」と話す。北アルプスを貫き、「雪の大谷」の室堂や黒部ダムが有名な「立山黒部アルペンルート」の4―8月の訪問者は前年同期に比べて約8%増。立山連峰の麓の宇奈月温泉の宿泊者は約39%伸びた。

 新たに新幹線が通った新潟県上越地方では、地域を代表するイベント「高田城観桜会」と「謙信公祭」の来場者数が、それぞれ133万2000人、24万3200人と過去最多を記録した。

■おもてなし低く

 増加する観光客に戸惑いも生じている。世界遺産である合掌造り集落の五箇山(富山県南砺市)を4―8月に訪れた観光客は約27%増えた。だが、保存団体関係者は「あまり多くの方が来ても受け入れられない」とこぼし、「五箇山の素朴さが失われてしまう」とも。

 石川、富山両県の最大の課題は「総じて低い」(北陸経済研究所)と指摘される「おもてなし」意識の改善だ。富山県幹部は「観光客の急増で、対応できていない部分も多い」と認め、「北陸を好きになり、また訪れてもらえるか、開業効果が薄れる来年に向けて今が正念場だ」と話す。

■沿線の交流進む

 首都圏からの観光客だけでなく、長野、新潟、富山、石川の4県を中心に人の行き来が増えたのも新幹線効果だ。

 新潟では、上越市・直江津と佐渡市・小木を結ぶフェリーの利用者(4月中旬から8月末)のうち、関西方面が40%、北陸が50%増えた。

 最短約1時間で金沢と結ばれた長野市の加藤久雄市長は「北陸や関西への道が開けた」と観光客誘致に意欲を示す。長野商工会議所によると、善光寺で今春に行われた「御開帳」は、北陸方面からの参拝客が前回09年より約40%増えた。

 一方、長野と金沢の途中にある飯山駅(長野県飯山市)の利用者は「開業1カ月間で1日平均500人」(JR東日本)と、県想定の1日平均1300人に届かなかった。唱歌「おぼろ月夜」の舞台となった菜の花公園や素朴で温かな作風の高橋まゆみ人形館などの見どころがあるが、知名度はそれほど高くない。

 飯山市商工観光課は「地道に認知してもらう努力をするしかない。周辺は日本有数のスキー場エリア。12月以降に期待している」と巻き返しを図る。

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