e-特集北海道新幹線

道新幹線新函館開業対策推進機構事務局長の永沢大樹氏に聞く

2016年3月25日付

 北海道新幹線開業がいよいよ目前に迫った。函館市内の官民が一体となって推進する「北海道新幹線開業はこだて活性化アクションプラン」の策定作業から10年。地元機運の醸成をはじめ、開業効果を函館の利益や雇用創出にどう結び付けるかを考えてきた。今の思いなどを聞いた。

 ―機構の経緯と活動について。

新函館開業対策推進機構の永沢大樹事務局長  2006年に函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会、函館市が主体となり、前身となる協議会を立ち上げ、観光振興、産業振興、交通アクセスの3分野26項目でアクションプランをまとめた。これを推進する組織として、機運醸成や基盤整備、人材や企業の養成、観光誘客や市場拡大などに取り組んだ。

 ステークホルダーが幅広いため、理解を得ながら1つの方向性にまとめることが悩みどころ。横の広がりや一体的に見せようとする気持ちがないと、地域としてまとまり感が出ない。その中で、開業記念を祝う市内イベントを分かりやすく発信することができた。

 開業から1年後の解散を予定している。事業主体が多岐にわたるので、これまでの取り組みの引き継ぎと、先につなげるための枠組みや事業スキームに主眼を置いて活動する。

 ―新駅からは距離がある。函館市民にとって利便性は。

 当時、オール函館で現函館駅への乗り入れに取り組んだが、結果的にはかなわなかった。年配の方々には複雑な思いがあるのは確かだが、一方で上手に生かしたいとも考えている。

 料金の高さや所要時間の長さは、正直な声としてある。都心部からの距離が空港よりも倍離れている新幹線駅では、航空各社のライバルにもならず、割引の拡充が一切なかった。開業地域では82年以降、初めてのことだ。割安になることの地元メリットが実現しなかった。

 開業1年間はご祝儀のようなもの。2年目以降の推移を見なければいけないし、継続的に利用しやすい切符や商品を設定してもらえるよう働き掛ける必要がある。

 ―メリットを得るために何が焦点となるか。

 この先15年は、青函トンネルの在り方が問われるだろう。料金の高止まりは青函トンネルの維持費などを理由に挙げるが、JR貨物からの線路使用料を収入に含めていない問題がある。現状、旅客を狙い撃ちした格好だが、人流、物流という対決構図にするのではなく、トータルで見る仕組みづくりが必要だ。

 札幌延伸で通過駅となることに対する悲観論は根強いが、長野や八戸などは微増している。羽田―千歳で年間900万人以上の乗降客がいて、その1―2割が新幹線に移行するとしたら。通過する人が増えるからこそ、宣伝や仕掛けづくりをすれば十分対応できる。

 ―函館の魅力と市民が意識することは。

 函館の一番の武器はブランド力。これに地域の実力が伴っていない。男性の雇用につながる産業基盤をどう構築していくか。交流人口の拡大は事実としてあるので、稼いだものを地域に循環させ、雇用効果を生み出すことが大切になる。

 また、当事者になれる人をどんどん増やすことだと思う。函館市民にとって新幹線開業は市内での出来事でなく、少し引いて見る人が多いのは事実。過去の開業地域では例がないくらいの難しさがある。

 その中で、地域のパワーを発信・PRしようとする人が表れてきたのが何よりの効果ではないか。「当事者が変わらないと地域は変わらない」。これは青森や鹿児島の方々から学んだこと。他人事から自分事にしていくことが一番大事だ。

 永沢 大樹氏(ながさわ・ひろき)1973年3月生まれ、函館市出身。早大文学部を卒業、95年に函館商工会議所に入所。06年から新幹線関連業務を担当、アクションプランの策定作業から推進まで全てに関わる。12年から現職を務める。

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