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【行政書士池田玲菜の見た世界】第45回/「心の不調と向き合う」「相談」は問題解決の一歩

暑い夏を乗り越えるのには、水分補給と十分な栄養摂取、そして適切な睡眠などの方法が提案されています。

自助努力も大切ですが、それでも体調を崩してしまった際には、医療機関を受診します。自ら医療機関に行こうとしない人がいれば、医療機関の受診を促すことでしょう。

このように、身体的な不調には病院に行くのにも行くように促すのにも抵抗感が少ないのが一般的です。

一方で、精神的な不調だと、医療機関にかかったり専門家に相談することを避ける傾向があるように思えます。

ちょっとした気分の落ち込みであり、病院に行くほどのものではないという気持ちが原因なのでしょうか。病院に行っても、気分の落ち込みの原因となっている課題は解決されないという諦めによるものでしょうか。

話し相手に精神的な不調を感じたときは、カウンセリングを受けることを薦めています。

カウンセリングとは、心理の専門家との対話を通じて、クライエントの抱えている問題を解決していく行為を指します。「相談だけでは何も解決しない」とはいわれていますが、私は相談することは問題解決への一歩だと考えています。

誰かに自分が抱えている悩みを伝えるためには、悩みを整理する必要があります。話始めたときはモヤモヤとしていたものだったとしても、心理職との対話を通じて整理することもできます。悩みが整理されれば、解決すべき課題や課題の原因も明らかにできます。課題が明らかになれば、その解決方法を考えることができるようになります。

心理学用語でいう「感情のラベリング」というものも解決につながります。自分の気持ちに名前をつけて言語化することです。例えば、自動車を運転していた際にクラクションを鳴らされ怒っているとします。その怒りには、突然大きな音が聞こえた驚きや、自分が危険な行為をしてしまったかもしれないことへの不安や反省、相手の配慮の無さへの失望などの感情が含まれていることでしょう。それらを言語として認識すると、自分が抱いた怒りに対するストレス反応が減少するのです。

日本では、カウンセラーの資格が乱立しています。大学院を修了しないと受験資格ももらえない資格もあれば、一日の講習で名乗れるものまであります。よくわからない鬱々(うつうつ)とした気持ちも、適切な資格を有して十分な経験を積んだカウンセラーに相談をすれば、解決することができます。

欧米ではカウンセリングがより日常に溶け込んでおり、心の不調を感じる前に相談する傾向もあるようです。

日本も同様にカウンセリングが根付き、心の健康度の高い人で満たされるようになることを願っています。

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池田玲菜(いけだ・れいな) アンパサンド行政書士事務所代表。知的財産の管理や企業のコンプライアンスなどを得意とする。コラム「行政書士・池田玲菜の見た世界」では、経営や組織運営にまつわるさまざまなトピックについて、行政書士の視点から綴る。


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