真砂徳子の起ーパーソン 風をおこす人々

第57回

株式会社ルーツ・オブ・ジャパン代表取締役社長
湊 源道(みなと げんどう)さん

株式会社ルーツ・オブ・ジャパン

 ルーツ・オブ・ジャパン(本社・札幌)は、国内外でリユース(製品の再利用)事業を展開しています。遺品整理や不用品処分の依頼などで引き取った物品の9割ほどを、適切な管理の下、ネット通販や直営リユースショップ、古物市場で販売するほか、タイやフィリピンへ輸出。海外では、高品質で手入れの行き届いた「ユーズド・イン・ジャパン」として、現地バイヤーや消費者からの支持が高く、輸出量は年間300tにも上ります。リユース事業の可能性を見据える湊さんにお話を伺いました。

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リユース事業に着手した経緯は。

 当社は、2007年に総合便利屋業で創業しました。それ以前は、アジア雑貨の輸入販売業を営んでいたんです。ピーク時は、道内外で8店舗を手掛けていましたが、ブームが下火になると、経営も思うようにいかず、負債を抱え撤退を余儀なくされました。

 再起を模索し、私の器用さや行動力が生かせる便利屋業を思い付いたんです。便利屋業では、遺品整理や不用品回収の依頼を数多くいただき、そこで、ごみとして捨てられてしまう物品の量に圧倒されました。モノが溢れている時代です。100円均一ショップで大概がそろい、使い捨てや買い替えに抵抗を感じる人は、昔に比べ少なくなっていると思います。

 アジア雑貨店の経営では、タイやベトナムで商品を生産し輸入販売し続けてきました。便利屋業では、モノがごみとして扱われる様を目の当たりにしました。エコロジーが重要視されながら、大量生産・大量流通・大量廃棄が当たり前になっている社会。モノの生産、流通、販売、廃棄の現場に携わってきた経験から、この矛盾をやり過ごせない思いに駆られ、早速、引き取った不用品を中古品としてインターネット上で売り始めたんです。直営の小売店舗「モノココ」も構え、リユース事業を構築していきました。モノココは、〝モノの心〟にちなんでいます。

海外では、「メイド・イン・ジャパン」同様、「ユーズド・イン・ジャパン」にも一目置かれているんですね。

 国内の販路では売れない中古品も多く、海外市場に注目しました。「ユーズド・イン・ジャパン」は、日本製以外であっても、日本人の厳しい輸入基準をクリアし、日本で流通していた商品として、海外で絶大な信頼を得ています。まずは、コンビニエンスストアの数に負けないくらい、日本の中古品販売店があるフィリピンに進出。タイには、直営小売店をオープンし需要を探りながら、市場を開拓してきました。

 輸出では主に、40フィートのコンテナに中古品を詰め、コンテナごと卸売業者に販売するんです。詰め込み作業には、人件費、専用機材の設備投資や維持費、場所代が相当掛かります。しかも当社は物流コストが割高な北海道。不利な立地を補うために、詰め込みの専門チームを編成し、商材を傷付けず、空間をなるべく空けないよう腐心し、他社の倍以上の重量でコンテナを輸出できるようにしました。

 電化製品以外ほとんどの商材を扱い、検証も徹底して、現地でごみになるような物品は決して送りません。努力の甲斐(かい)あり、他社の1・5―2倍の金額でコンテナを購入いただいています。特にASEANで広がりを見せるユーズド・イン・ジャパン市場に国も注目する中で、国内のごみを減量し外貨を得る事業に、使命を感じています。

不用品を財産に変えるリユース事業は、これまでの価値観を省みる取り組みだと思いました。

 海外では興味深い光景に遭遇します。例えば、タイ人は、最近主流の合板の中古家具には新品同様であっても関心を示さず、一昔前の婚礼たんすなどに施された仕掛けや細工等に目を丸くし、日本の木工技術を賞賛します。

 日本製の包丁やのこぎりは、ゆっくり引くだけでよく切れると、職人さんたちにも大人気です。日本の心技が宿る家具や道具に心引かれる海外の人たちの様子に、日本人が本来持ち合わせていたモノに対する愛着を思い起こします。

 今は、中古商材の供給が追い付かないほど、各国から引き合いが絶えない状況です。世界的なリユース市場のさらなる拡大は明らかで、国際競争力を付けるためには、関係業界への働き掛けや、他の民間企業に下取りの協力を請うなどして、中古品の回収に努めると同時に、「不用品=ごみ」という概念を改める啓蒙(けいもう)活動も必要だと思っています。

湊さんは、タイ王国和僑会の幹事も務め、「ジャパン・エキスポ in タイランド2015」(2月6―8日)では、実行委員役員として奔走されました。海外インバウンドの推進にも意欲的です。

 とりわけ北海道人気が高まるタイで、北海道とのつなぎ役を担う機会が増えました。昨年から現地制作会社と協力し、タイ向けの北海道PR番組も制作。思いがけない進展です。

 ジャパン・エキスポでは、当社のブースで、道内協賛市町村の広報に力を入れ、〝北海道屋さんの店長〟という気概で臨みました。先祖は北海道開拓民。郷土に貢献できる喜びはひとしおです。新たな価値を創造し、社会問題の解決を目指すリユース事業にやりがいを感じています。未来を創る起業家としての責任と先祖から継がれた開拓者精神が、私を奮い立たせているのかもしれませんね。

取材を終えて

ぶれない信念を持って
 転機は、雑貨店経営に挫折した頃と振り返る湊さん。失意の湊さんに「土の下でしっかり根を張る木の根のように、見えないけれど揺るぎない自分の根っこを思い出せ」と説いた恩師の導きは、今も糧になっているそうです。湊さんのぶれない信念と起業家魂の源泉を知るインタビューでした。

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