おとなの養生訓

第87回
「飲酒とビタミン」 アルコール処理に消費

酒に入っているアルコールは、本来は体に必要がない不要物であり、有害な作用を示す物質でもあります。ですから、肝臓で分解処理し無害化して、主に尿によって体外に放出します。つまり、アルコールが抜けるかどうかは、肝臓のはたらきが重要だということです。

 肝臓ではアルコール脱水酵素とアルデヒド脱水酵素という二種類の酵素がはたらいて、アルコールを無毒化しています。また、この二つの酵素によるアルコール処理が間に合わない時には、他の有害物質の解毒を担当するチトクロームP450系と呼ばれる酵素システムも動員されます。これらの酵素が作用するためには、ビタミンが必要です。

 アルコール脱水酵素とアルデヒド脱水酵素の反応のためには、ビタミンB1が必要です。ビタミンB1は糖質からエネルギーを取り出すために必要なビタミンです。ですからビタミンB1が欠乏すると、全身がエネルギー不足となり、体に力が入らなくなって、いわゆる「脚気」という病気になります。

タミンB1はアルコールの処理にも使われ、消費されます。したがって、お酒を飲むときにビタミンB1の補給がないと、アルコールが処理されにくくなったり、糖質からエネルギーが取り出しにくくなったりする悪影響が考えられます。ビタミンB1は豚肉やうなぎ、ピーナツ、大豆などに豊富に含まれているので、おつまみを工夫することで解決できます。

 一方、お酒を飲むとすぐ赤くなるタイプの人は、二つの脱水酵素が弱い人で、他にチトクロームP450系がはたらいて、アルコール処理を助けています。チトクロームP450系はビタミンCが必要です。ビタミンCはコラーゲンの合成に必要不可欠なもので、不足すると、最悪の場合、血管が破けやすくなり、全身で出血が頻発する壊血病となります。

 アルコールを大量に摂取すると、チトクロームP450系が活発にはたらいて、その際にやはり大量のビタミンCが消費されることになります。ですから、とくにお酒に弱い人は、ビタミンB1に加えてビタミンCの補給に努めるべきです。ビタミンCはかんきつ類の他、ホウレンソウなどの野菜や、ジャガイモ、サツマイモに豊富に含まれています。おつまみとしてはポテトサラダがお勧めですよ。

(札医大医学部教授)

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