マイナス金利時代を聞く
(1)日本銀行札幌支店長 杉本 芳浩氏
新ビジネスのチャンス

 連載・特集~紙面から~

日本銀行札幌支店長 杉本 芳浩氏

 マイナス金利付きの量的・質的金融緩和は、銀行が日銀に預ける預金金利の一部をマイナスにするもの。道内金融機関で対象になる取引はごくわずかだが、貸出金利を引き下げる効果があり、北海道の今の経済環境にとって良いタイミングと考えている。

 道内企業はアベノミクスで公共投資の恩恵があったが、輸出企業が少なく円安メリットは享受できていない。ただ収益の圧迫要因だった円安に伴う原料価格の上昇は転嫁が進み、そこに昨年秋からの原油安があり道内の中堅、中小企業の収益は改善しているとみている。

 この状況に訪れた、ごく低い金利で資金を借りられる環境は、新ビジネスを考えるチャンスだ。北海道の企業には、もう少し目線を上げ新たなビジネスに向けた投資を考えてほしい。

 農業をはじめ北海道が持つ魅力は大きい。人口が減るのだから、薄利多売を転換し、高付加価値、高利益を模索しなければならない。課題となる人手不足の解消を図る自動化、省力化には機械や設備の導入が必要になる。

 流通が難しい道内で育った蓄積を生かし、ニトリなど中央に出て成功した企業も多い。農業生産法人が、情報化による農業で省力化や無人化を目指す挑戦も始まっている。

 目標の高い企業は既に投資へと動いている。ごく低金利で資金を得て利益を上げられる今の環境は、まだ動いていない人を後押しするものと受け止めてほしい。

 ただ続け過ぎれば経済が持たず長く続くとは考えられない。一種のカンフル剤が生んだ千載一遇の機会であり、投資促進を期待したい。

 課題は生産ラインを動かす人不足や新ビジネスの参入障壁となる規制など。投資の結果で生じる建築は、東京五輪まで首都圏へ経営資源を集中する建設業の動きもあってコスト高が続くとの声を聞く。

 道内は賃金が上がり、物価が上昇しても消費が伴っていて悪い状況にない。ただ全体から見ればそのレベルはまだ低い。加速的に投資や消費を増やすには、規制緩和や経済政策を組み合わせる必要がある。

 活発な投資と消費が広がり名目の経済、金利が上がれば政策が出口に差し掛かった目安。展望レポートは2017年前半に目標の物価上昇2%の到達を見込んでいる。

(2016年3月10日掲載)

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