マイナス金利時代を聞く
(4)帝国データバンク札幌支店情報部長 篠塚 悟氏
貸出先獲得競争に拍車

 連載・特集~紙面から~

帝国データバンク札幌支店情報部長 篠塚 悟氏<

 マイナス金利政策の影響として、金融機関による優良な貸出先の獲得競争が加速するとみている。低金利が長期化する中、この政策で金利水準はさらに低下する。利ざやが縮小し、それをボリュームで稼ぐ必要が出てくるためだ。

 帝国データバンクの企業景況調査を見ると融資環境は悪い状況にない。2008年後半のリーマンショック後、厳しい方向感があったが、これは年を追うごとに回復している。

 ただ北海道は他府県に比べ企業側の資金需要が弱い。現状は、長期資金を調達し設備投資をするというマインドになく、金利が低いからといって投資が発生することに懐疑的な見方が多い。

 このため金融機関は、リスクの少ない優良な融資先を競い合う動きとなるだろう。ただし融資が難しかった企業へ無理して拡大するかといえば、そうはならない。リスクがある企業への貸し出しは、貸倒引当金など与信費用の増大を意味するからだ。

 全国的に見ると、メガバンクは動きが速い。既存の融資をより大きなロット、かつ低金利で借り換えさせ始めている。こうした動きは地方にも広がり、限られたパイをめぐり金融機関の競争が加速する。体力のない機関は貸し出しを広げることも難しくなり、再編を後押しする可能性がある。

 ただし、大枠の融資姿勢は、金融円滑化法の支援方向から大きな変化はない。3月は同法終了後、出口戦略の暫定リスケジュールの目安となる3年目だ。このため、業績が厳しく改善のめどが立たない貸出先は、厳しい判断が出る可能性は否定できない。しかし、参院選を控えていることを考えれば金融政策的にドラスチックな変化は起きないと考える。

 一方、今ある企業は経済環境が苦しい時期を経て立ち直り、再建途上のところも多い。こうした企業への前向きな融資、支援は展望を持ってよいとみている。

 金融機関は財務分析や事業性評価など目利きが求められるが、意識するのはやはり経営者の資質だ。今は会社や事業の強みと弱みを適切に把握し、それを伝え銀行との関係を密にするチャンスと感じる。その結果が課題解決、いざというときの支援につながる。

(2016年3月15日掲載)

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