おとなの養生訓

第92回
「命の水」 意識してこまめに補給

の体重の60%は水が占めています。つまり、人は水なしでは生きられないのではなく、水によって存在しているのです。この水が大切に体内にしまわれて、一切出入りがないのであれば、人はそれ以上水を必要としないはずですが、そうは問屋がおろしません。

 水は放っておくと、どんどん体から失われていきます。たとえば、体温を調節するため発汗が起き、これにより水分は体外へ出ていきます。また、吐く息ですが、湿度はほぼ100%です。気管やのどの粘膜を乾燥から防ぐために水分が加わっているためです。ですから、私たちは常に呼吸をしているので、吐く息から時々刻々と水分が失われていきます。

 さらに、おしっことして1・5㍑、大便として0・1㍑の水分が毎日出ていきます。こうして、人は1日で約2㍑の水分を失うので、それを補うために、食べ物や飲水として約2㍑の水分を摂取しなければならないのです。

 食べ物に含まれている水分を別にすると、水あるいは飲料で約1㍑程度の水分を取る必要があります。これは結構多い量です。意識的に水そのものを飲む以外に、私たちはお茶、コーヒーなどで、この水分を補っています。

 そうすると、コーヒーならカップ一杯140から150㍉㍑なので、一日に6―7杯も飲まなければならなくなります。こんなにコーヒーを飲んだら、夜眠れなくなりますね。やはり、グラス1杯(180㍉㍑)ぐらいのお水を数回は飲んだ方がいいことになります。これは、意識していないとなかなか達成できません。「こまめに水分補給」を忘れないようにしましょう。

分補給というと、アルコールが問題になります。アルコールは通常よりもおしっこの量を増やす作用があるので、お酒として飲んだ量以上の水分が確実に失われます。お酒を飲むと必ず脱水状態になるのです。ですから、お酒を飲んでいる最中も、飲んだ後も水分補給が不可欠です。できれば何もいれていないお水を2、3杯は飲んでほしいところです。

 日本酒で晩酌する人で、傍らにお冷やを必ず用意する人がいます。「命の水」というそうです。確かに長くお酒を楽しむ秘訣として、長生きしながらお酒を飲む方法として、いい選択であるのは間違いありません。

(札医大医学部教授)

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