【透視図】年末の凶行
先の週末に近くのショッピングモールへ出掛けてみると、既にクリスマスムード一色に染まっていた。ぐるりと見回すと全体に赤と白、緑の配色が目立ち、そちこちから「ジングルベル」や「クリスマス・イブ」(山下達郎)などの歌が聞こえてくる▼いささか気が早いとはいえ、見慣れた毎年の光景である。いつもより華やかでにぎやか。歩いているお客さんも高揚感に包まれ、少し浮き足立っているように見える。
このクリスマスをはじめ、年末年始にかけての今時期は人や金の流れが活発で、予期せぬ犯罪も起こりやすい。各地の警察も先週半ばころから恒例の年末年始特別警戒に入り、窃盗やけんか、暴漢、飲酒運転といった犯罪被害に遭わないよう注意を呼び掛けていた▼そんな中で起きてしまった凶悪犯罪である。北九州市小倉南区の「マクドナルド322徳力店」で14日、レジに並んでいた中学生の男女2人が、40歳くらいとみられる男に刃物のようなもので刺された。犯人はまだ見つかっていない。
2人は病院に運ばれたものの、女子生徒は死亡、男子生徒も重傷を負った。報道によると男は入ってくるなり真っ直ぐ2人の所へ向かい、無言でいきなり刺して逃げたという。生徒たちも周りもなすすべがなかったろう。極めて卑劣で残忍というほかない▼身勝手な思い込みで逆恨みしたり、他の人の幸せな姿を見て許せなく思ったり、そんなわがままで凶行に及ぶ者が近年目立つ。街に幸せがあふれる時期だが、それを壊す権利は誰にもない。真相はまだ分からないが、残念で悲しい事件である。
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