札幌市発注工事の小規模土工で、ICT施工の導入が始まっている。東区東雁来の土地区画整理に伴う緑道新設を受注した佐藤萬香園(本社・札幌市北区)は、自主提案で土工にICT施工を採用。生産性向上などメリットと費用対効果の検証を進めている。都市局が所管する現場では初のICT施工に発注者側の関心も高く、施工精度の検証など技術評価に取り組む考えだ。
導入したのは、東雁来第2地区8・5・31雁来川わかば緑道新設の現場。川沿いに緑道を整備する造園工事で、延長約590mにわたり幅7―10mの緑地帯と4mの歩道を設ける。工期は10月末まで。落札額は税抜き4593万6000円となっている。
佐藤伸一社長は「ICT施工が当たり前の時代が来る。先駆けて採用しノウハウを蓄積できれば、優位性を確保できる」と導入理由を説明。
技術的な蓄積がある土工の協力会社・一二三北路(同)とタッグを組み、ICT施工対応のコマツ製油圧ショベル「PC200i」とブルドーザ「D37PXi」を用いている。
緩やかな曲線が連続する緑道は通常、数m間隔の細かな丁張りが必要だが、衛星を使った位置把握と3次元設計データの誘導施工で不要に。機械周辺の作業員も2人から1人に削減できた。ブルドーザを使った路面整正は自動制御のブレードが高い精度を確保した。
熊野光志現場代理人は「施工精度も高く、余裕ができた作業員を他に回せるため、進ちょくに大きなメリットがある」と効果を実感。ただ、通常の数倍と高額な建機レンタル費は課題で、小規模工事では大規模工事以上に導入判断を難しくしている。
活用経験のある川合紀幸工事部長は「費用面だけ見ればプラスマイナスゼロ」と指摘した上で、「将来的な熟練オペレーター不足への対応、重機回り作業員の削減による安全確保など金額で表せない部分もある」とし、機会を捉えて採用を続けていく考えだ。
近く発注者向けの説明会を開く予定。市発注工事ではICT施工の導入事例が少なく、市側の関心は高い。市街地整備部では、説明や現場検証を技術評価に役立てる。