歴史踏まえ共生のまちづくり
樺戸集治監が1881年に設置されたことに伴い開拓され、空知管内で最初の村として誕生した月形町。町名の由来も、集治監の初代典獄(現在の刑務所長)・月形潔から命名されたもので、町民はこうした歴史とともに暮らしている。
―町の特徴は。
月形は樺戸集治監によって発展したという背景があり、現在も月形刑務所は収容人数1800人と全国でも大規模な刑務所だ。また、町内には5つの福祉施設がありグループホームも各地にある。町民はそうした刑務所や福祉施設を迷惑とも思わず受け入れている。
私はそうした集治監によって創られたまちを好きになり、守っていこうと思った。
―課題は何か。
人口減少に伴い生産年齢がいなくなり、町の店舗や産業が衰退しているが、何と言ってもJR札沼線の問題がある。札沼線は高校生が利用しており、短大や専門学校に通う際にも必要だという声も挙がっている。線路で当別、月形、浦臼、新十津川がつながっていることが大事だという思いから、存続に向けた取り組みの先頭に立っている。
札沼線の魅力は札幌から1時間の距離で日帰り観光ができるところ。沿線は四季の変化を感じられ、温泉やワインなどの資源もある。時間に追われてあくせくしている中で、のんびりと、癒やしの時間が流れている。こうした魅力をPRしていきたいと考えているが、この路線はJRにとっても宝なのではないか。
―月形といえばふるさと納税も話題だが。
月形は農業の町で、メロンの栽培をしているが、赤肉、青肉の両方が同時期に収穫できるのは大きな特徴。ふるさと納税の返礼品にもしていて、納税額は2015年に100万円だったものが、16年には7200万円になった。
―今後のまちづくりはどうしていくか。
この月形を何とか1番にしたい。皆から犯罪者と呼ばれた人が命を懸け、縁のないこの町を開墾し、町を創ってくれた。かつてこの町を開拓した人たちや、この町に多くいる障害者にしても、1人で生きていける人間なんていないというのはいつの時代も共通のこと。「共生のまちづくり」を実現していきたい。
上坂 隆一(うえさか・りゅういち) 羽幌町出身、1950年11月14日生まれ。2016年に初当選し、現在1期目。2017年6月2日付掲載