安心して子育てができる町に
良質な米づくりに力を注ぎ、製造業では空知管内で上位の出荷額を有する奈井江町。産業振興だけではなく、手厚い定住促進施策や子育て支援を展開するなど、安心して子育てができる町へと着実な歩みを進めている。
―町の特徴は。
稲作農業と石炭産業から転換した製造業が産業の中心。2015年の第1回ゆめぴりかコンテストで最高金賞を獲得するなど良品質米の生産に力を入れており、製造業の出荷額も岩見沢市に次ぐ空知管内2位の262億円を誇る。
―抱える課題は何か。
全国の自治体と同様、人口減少や少子高齢化が急速に進んでいる。人口はピークである1960年の1万8458人から現在は3分の1に減った。このため子育て世代が暮らしやすい環境をつくる必要がある。
―課題への対応策は。
16年に策定した地方創生総合戦略で、奈井江町版CCRC構想と、町外通勤者を対象とした移住・定住対策を重要項目に掲げた。
CCRC構想の推進では、住まい問題の解決と医療・介護が一体的に提供できるよう町立国保病院の3階病床をサービス付き高齢者住宅「あんしん」に改修した。移住・定住対策では、町内企業の従業員500人のうち7割が町外から通勤している現状を受け、新築住宅で最大300万円、中古住宅で最大200万円を助成する施策を進めている。
また、18歳まで医療費を無料にし、第3子以降は認定こども園の保育料や小中学校給食費を無料にするなど子育て支援策も積極的に展開中だ。この成果もあり、人口減少の一因である転入・転出差は10―14年度の平均がマイナス54人に対し、15年度はマイナス11人、16年度がマイナス15人と、この2カ年は子育て世帯が増加した。
―今後のまちづくりの展望は。
地方創生戦略では、基本的方向性として①新たな仕事づくり②新たな人の流れ③安心して子育てができるまち④健康な暮らしと生きがいのあるまち―の4点を掲げた。
特に重要な雇用問題は、企業立地促進補助金として投資額に対し上限1000万円、用地取得で上限4000万円などの優遇措置を設けている。既存企業を支援するとともに制度活用を促し、働きの場・機会を創出したい。
北 良治(きた・りょうじ)奈井江町出身、1936年10月12日生まれ。86年に初当選し、現在8期目。2017年06月16日付掲載