「移住定住」「子育て」施策軸に
面積が39・9平方㌔mと、道内で最も小さい自治体である上砂川町。過去には炭鉱閉山だけではなく、バブル崩壊による一般企業の撤退という二度のダメージを受けたが、小さな町だからこそできるきめ細かく手厚い移住・定住施策に取り組み、人口減少という厳しい課題に挑んでいる。
―上砂川の特徴は。
三井砂川炭鉱の誕生によって町ができたが、面積や地形的な面もあり農業は盛んではなく、主に石炭産業とものづくり産業で成り立ってきた。現在も医療用顕微鏡のスライドガラスなどを製造するマイクログラスといった国内トップクラスのシェアを誇る企業が拠点を置いている。
―まちの課題は何か。
人口減少と少子高齢化で、高齢化率は49%と厳しい状態。働く場所がそろっているにもかかわらず、働く人がいないのが現状で、企業が求めている20―30代が特にいない。さらに、このような若い人が暮らす民間賃貸住宅がないことも課題の一つで、解消するための施策を打ち出す必要がある。ほかにも、庁舎耐震化という課題を抱えていて、公共施設の維持管理と一緒に方向性を検討しなければならない。
―活性化に向けた対策は。
移住定住施策に重点を置いている。お試し暮らしの拠点として、ことし2月に設けたシェアハウスは1泊1100円から利用でき、就業体験も可能だ。部屋のタイプも各種あるため、親子で使うこともできる。合わせて、住宅新築には最大190万円、中古住宅購入には最大70万円を助成する取り組みも進めている。
本年度は保育園を認定こども園として建て替える予定で、子育て施策がより強化される見込み。また、立地的にも空知管内の中央に位置しているため、札幌や旭川にも車で十分移動できるところをPRしていきたい。
―今後のまちづくりの展望は。
外からの目線で魅力を掘り起こしている地域おこし協力隊に期待している。町に来てくれた隊員には「やりたいことをやってほしい」と声を掛けたが、実際にシェアハウスを発案したり、町のPR動画作成、イベント開催など地域に根差し積極的に活動してくれており、頼もしい存在だ。人口減少など取り巻く環境は厳しいが、今後も共に地域活性化に取り組んでいきたい。
奥山 光一(おくやま・こういち)上砂川町出身、1958年6月18日生まれ。初当選は2014年で現在1期目。2017年6月23日付掲載