ブドウ栽培で地域活力を創出
人口約3400人と、日本一人口の少ない「市」である歌志内。炭鉱の閉山で疲弊したまちは、活力を取り戻すべく、さまざまなチャレンジを続けている。
―歌志内はどんなまちか。
道内で27番目に誕生した市で、ピーク時の人口は4万6000人に達していた。石炭産業によって栄え、戦前戦後の経済を支えたのが歌志内だ。
1948年には小中学生が約1万人いて、市内には映画館が5、6館あったほか、割烹(かっぽう)もあったが、まちが疲弊してからはそれらがなくなり、生活の利便性は悪くなっていった。その後は露頭掘りの需要が伸びており、歌志内にある露頭の大きさがあらためて認識されているところだ。
―まちの課題と対応は。
高齢化率は48%を超え、人口減少を防ぐことが課題だ。市外からの移住・定住も必要だが、まずは「市内にいる人を大切に」ということを原点にしている。
若い世代へは子育て支援をし、教育環境も整えている。現在整備中の認定こども園では英語教育を実施する予定。小中学生の修学旅行費も全額市で負担しているが、こうした小さなことを積み上げていきたい。
高齢者の健康づくりも柱の一つ。お年寄りに元気に生きてほしいとの思いから、肺炎の無料診断をしたり、ワンコインで健康診断できるような仕組みも構築した。
2016年度からスタートした総合計画では、コンパクトシティを目指すことにしており、現在、高齢者向け住宅を建設しているが、今後は需要を調査し、地域ごとに同様の住宅を造りたいと考えている。
―地域の元気を取り戻すために必要なことは。
産業の創出を目指し、ブドウ栽培に乗り出した。実はかつてもブドウ栽培を試みたことがあるが、そのときはシカに食べられてしまった。今回はその反省も踏まえ、ゆくゆくはワイナリーになっていけばいいと思っている。5月にはブドウの植樹を行ったが、本当に多くの人が来てくれた。
歌志内では、職員からの提案で進めている事業も多く、職員にやる気がある。市全体がどうあるべきかを考えたまちづくりが大切で、住んでいる人が幸せを感じられるようなまちづくりを進めていきたい。
村上 隆興(むらかみ・たかおき)歌志内市出身、1946年10月31日生まれ。初当選は2012年で、現在2期目。2017年7月19日付掲載