真砂徳子の起ーパーソン 風をおこす人々 第1回 有限会社寺島デザイン制作室 代表取締役 寺島 賢幸(てらしま まさゆき)さん

2012年08月01日 17時29分

 寺島さんは、デザイナーの登竜門ともいわれるJAGDA新人賞(2001年)をはじめ、世界的な広告美術団体であるニューヨークアートディレクターズクラブでの銅賞(2000年)など、数々の国際コンペでも入賞歴を持つグラフィックデザイナーです。道産加工食品の商用パッケージのデザインも数多く担い、地場産品のブランディングに精力的に取り組むとともに、北海道を拠点とするクリエイターたちとの切磋(せっさ)の機会を広げるため、「札幌アートディレクターズクラブ」を有志で設立。業界の底上げにも奮闘しています。

★寺島さんがパッケージデザインを手掛けた道産加工食品は、ファッション誌などにも紹介されています。海外からも引き合いがあると伺い、デザインの持つ力にあらためて感激しました。

寺島 賢幸さん

☆寺島 北海道の商品を、東京の有名百貨店のバイヤーさんなどの〝目利き〟に見せると、「味は良いけれどパッケージに魅力がない」と指摘されることが多いと聞いています。依頼があったノースファームストック(岩見沢市)の無添加ジュースは、こうした背景を受け、北海道らしいけれど、今までの北海道のイメージにない、新鮮な切り口で世に出そうと思案。仮想ターゲットは、食通で高感度な女性や、東京在住の外国人を想定しました。

 容器はワインボトル。そこへザラザラしたクラフト紙に判を押したような文字を配列したラベルをくるりと巻き、素朴で味わいのある「手づくり感」を表現。ほとんど日本語の記載がない、外国製を思わせる商品になりました。

 これが、東京の大型商業施設や、輸入食材も広く扱うセレクトショップに並んだこともあって、多くのメディアにも取り上げられたんです。好評は、食に関心の高い皆さんに支持されるほどのおいしさあってこそ。北海道の食の真価を再認識する反響でした。

 こうした実感から、地元で売れれば御の字と依頼をくださる方にも、デザインなどの創意で商品のクオリティーの高さを適切に伝えれば、決して向こう(東京や海外)の土俵に上がっても負けないよ、と熱心に働き掛けてしまいます。もっと〝その気〟になってもらいたい一心で。

 卵のおいしさにほれ込んで、僕から養鶏農園さんのロゴデザインを提案したこともありました。その農園は、のちに製菓の商品開発にも着手。ロゴをパッケージの「顔」にして売り出し、今や、百貨店や大手スーパーに直営店舗をオープンするまでになっています。

★寺島さんにとって、道産食品のブランディングや商用のデザインには、何か特別な喜びがあるように感じます。

寺島 賢幸さん

☆寺島 もともと僕は広告畑。新聞広告や折り込みチラシは瞬間芸のようなものだけれど、商品は食卓や冷蔵庫の中に置かれ、生活の中に入って行きます。商品を手にする人を見かけるたびに、僕らの仕事が生活に密着しているのだと実感します。加えて、北海道の応援にも一役買っているのではないかという喜びが、北海道でデザイナーをなりわいとしている僕の励みにもなっています。

★地元への貢献に尽力し、国際的にも評価される寺島さんに、刺激を受けている同業者も多いのではないかと想像します。

寺島 賢幸さん

☆寺島 広告代理店から独立後、力を試したくて全国規模のデザインコンペに出品した時、箸にも棒にも掛からなくて。なぜかと考えて、人がやらないことをやる価値に気付きました。当時は、僕も含め札幌にいる同業者の多くはコンプレックスの塊。東京に出て仕事をする勇気もない自分たちは東京には勝てないと思い込んでいました。だからこそ、北海道に居ながら認められるために、コンペに応募し続けたんです。

 JAGDA新人賞やニューヨークアートディレクターズクラブの受賞は、道在住のクリエイターとしては、初めてのこと。「自分たちにもできるかもしれない」という周囲の〝熱〟が、札幌アートディレクターズクラブにつながりました。切磋琢磨の場にするべく審査会も開催。身内意識で凝り固まらないよう、審査は東京の第一線で活躍するクリエイターにお願いしています。立ち上げから12年。今仲間たちは、コンプレックスどころか自信を持ってコンペに参加し、入賞者も続々と出ていますよ。クリエイターには、技術も自信も大事だと、僕は思います。

★クリエイターとして、心掛けていることは。

寺島 賢幸さん

☆寺島 表現には「メッセージ」が伴います。それは僕の生き方を映してしまうかもしれません。現時点の僕には、本当に心満たされて生きるとは何か、が命題。そこに、経済的な豊かさとは違う、本質があるんじゃないかと。このメッセージを、デザインでどう伝えるかなんですよね。

 北海道は素晴らしい素材にあふれています。北海道のクリエイターとして、北海道から、多くの人が心満たされるライフスタイルを志向するきっかけとなるような、豊かなメッセージを発信できれば。北海道は、それにかなう場所だと確信もしています。

取材を終えて

目標高いほどワクワク

 目標は高ければ高いほどワクワクするもの、という寺島さん。結果にかかわらず、その過程で湧き上がる高揚感が大切だと話していました。背中を押されるような、寺島さんのポジティブな思考に、魅力的な創作の源泉を思うインタビューでした。


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