真砂徳子の起ーパーソン 風をおこす人々 第19回 有限会社First FLASH代表取締役 函館黒船地域活性化協議会会長 小林 一輝(こばやし かずき)さん

2013年05月07日 18時14分

 小林さんは、函館を拠点にセレクトショップや飲食店を経営する起業家です。同世代の有志と共に「函館黒船地域活性化協議会」も組織。会が主催する「HAKODATE黒船」は、年に一度の野外フェスティバルで、ライブとファッションショーをメーンに、函館に潜在する可能性や魅力を掘り起こす函館発の一大イベントとして定着。4回目の昨年は3200人を動員し、その規模を拡大し続けています。〝やればできる。願いは叶う〟を掲げた活動で函館の未来を育みたい、という小林さんにお話を伺いました。

★「函館黒船地域活性化協議会」発会の経緯は。

小林 一輝さん

☆小林 中心メンバーは皆、函館で生まれ育った幼なじみです。住み慣れた函館は、例えるならば、家族のようなもの。温かい存在だけれどあまりにも身近で、高校時代までの僕にとってはどこか物足りない場所でした。

 僕は札幌の大学へ進学し、他メンバーも同様の思いで、それぞれ一度は函館を出ています。でも、離れて初めて故郷の良さをかみ締めるようになって。無いものねだりではなく、無いならば、いずれは僕たちが函館以外で吸収したことを持ち帰って地元を盛り上げようじゃないかと、当時から皆と約束していたんです。

 発会前から、僕らの発起で、年末帰省する若者たちが集まる同窓会のようなクラブイベントを毎年開催していました。1000人も集客するほどの好評を糧に、市外の人たちにも注目される大規模な仕掛けを模索するようになって、協議会の前身の「黒船実行委員会」を発足。今に至ります。

 名称は、かつて函館に来航し新風を吹き込んだ黒船になぞらえ、僕らの意気を込めています。「HAKODATE黒船」は、函館初の野外フェスティバルです。

 高齢化や人口流出で活気が失われつつある函館で、〝やればできる。願いは叶う〟をテーマにしたイベント実現を思案し、2009年に市主催の開港150周年記念連携事業の一貫としてスタート。2000人ほどを動員した実績と僕らの思いをくんでくださった市の後援を得て、2回目以降は単独で開催しています。

 協賛企業さまを募るために、あらゆる伝手(つて)を頼りに毎回100社以上に足を運びます。チケットは手売り。テントなどの設備も地元商店街の方などからお借りし、自分たちで設営や撤収も行います。共催メディア各社さまのご厚意で告知いただく以外は、できる限りの宣伝に奔走しています。今のところ目いっぱい汗をかいても採算は取れず持ち出しですが、行動しなければまちは変わらない、という使命感が、僕らを駆り立てているのだと思います。

★起業活動でも地元に貢献していらっしゃいますよね。

小林 一輝さん

☆小林 映画「イージーライダー」に影響を受け、子どもの頃からアメリカ文化やファッションに関心があったんです。憧れの世界観を生かしたショップ経営を夢見て、大学時代に札幌の古着屋さんでアルバイトをしていた時に、オーナーがアメリカでの買い付けに同行させてくれました。待望の初渡米は初海外。アメリカ人からは「日本はどんな国なの?」とよく聞かれましたが、僕は函館と札幌のことくらいしか伝えられなくて。母国について無知な自分に愕然とし、帰国後早速、日雇いの仕事をしながらバイクで各地を巡る日本一周の旅に出ました。

 旅先では、日本が多様な個性を持つ地域で成り立っていることを学びました。地元に誇りを持つ同世代たちにも出会い大いに刺激を受けました。この旅が機で、幼なじみたちとの約束だった「いつか函館のために」という思いをあらたにし、お金をため一年後には帰郷。23歳でアパレル業を立ち上げました。

 函館市民はファッションに頓着しないだろうとか、シャッター街での経営は難しいだろうとか、函館での起業を心配してくださる声もありましたが、ハンデにこだわるよりも、「僕の軸は函館」という揺るぎない信念の下、まずは行動し、改善すべき点は都度改善しながら前進しようを思いました。〝やればできる。願いは叶う〟は、僕の事業にも人生にも通じるテーマですね。

★〝地方が主役〟といわれている時代です。小林さんは函館でそれを具現されている方だと思います。着眼は。

☆小林 「和魂洋才」という言葉があります。日本古来の精神は失わず、西洋文化を取捨し受け入れながら発展させていくという意味で、開国都市・函館の軌跡を思います。事業を通しご提供する商品も、サービスも、地域活性の取り組みも、函館にあるものは最大限に生かし、無いものは他から積極的に取り入れる柔軟なスタイルで、よりよいものをと追求し続けています。まだまだ手探りですが、函館に求められているニーズを丁寧に捉えていきたいですね。

 HAKODATE黒船で初めてファッションショーを観たという女の子が、アンケートに「モデルになりたい」と書いてくれました。僕らの活動が、誰かの夢や未来がひらくきっかけになっていたら本当にうれしいです。全国には地域活性のために奮闘している同志たちがたくさんいます。今は各地点在している活動が、いずれつながり線となり、円(縁)となった時に、日本全体がものすごく元気になるんじゃないかとワクワクするんですよ。これからも〝やればできる。願いは叶う〟と信じて、未来にはせ進んでいきたいと思います。

取材を終えて

誰かの喜びを糧に

 人生一度きり、一人でも多くの人を輝かせることができればという小林さん。行動の発端は他者のためでも、そこから得る「知恵」や「出会い」は代え難い財産。自分の「ため」にもなっているんです、と満面の笑顔でおっしゃいます。誰かの喜びを力に変えて進む、小林さんの真っすぐな心に引きつけられたインタビューでした。


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