空撮 復興の大地(1) 清水町 日勝峠
急なヘアピンカーブの先、大きくえぐれて露出した山肌が甚大な被害の一端を物語る。つづら折りの険しい道が続く日勝峠で十勝側1合目の復旧を象徴する青いクレーンは、畑下組が施工する国道274号清水町清水中央改良現場。この先、多くの場所で懸命の工事が続いている。
昨年の豪雨災がもたらした東西を結ぶ交通の要衝の寸断は、人や物の流れを阻害し、一時は国内に食料供給の不安をもたらした。
交通網や物流は回復しつつあるが、大規模な道路流失など大きな被害に見舞われた日勝峠の復旧は、地形にも阻まれ困難を極めた。
持てる力と技術の全てを投入してきた関係者の尽力は10月末、峠の開通を喜ぶ地域の笑顔で報われるに違いない。
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連続台風がもたらした甚大な被害から1年。地域を守る社会基盤と、復興する大地を空から伝えます。
2017年9月23日掲載
空撮 復興の大地(2)南富良野町 空知川
南富良野町内を流れる空知川。昨年8月の台風10号による豪雨災害で幾寅市街地をのみ込んだ姿がうそのように、ことしは穏やかな姿を見せていた。
当時、川の増水で2カ所が破堤。濁流は周辺の住宅地やジャガイモ畑、ポテトチップス工場などに押し寄せ、人々の暮らしや経済活動に大きなダメージを与えた。浸水面積は130haに及ぶ。 上流部から下流部まで6現場が稼働する本復旧は9月末でほぼ完了する見込みだ。護岸用の大型連節ブロックの不足など資機材の確保に苦労した現場もあった。
そうした中、18日には台風18号が道内を通過。強風や川の水位上昇で町職員や工事担当者は警戒に当たったが、災害は発生しなかった。空知川左岸南富良野町幾寅地先下流災害復旧を施工する中山組の現場代理人、能代谷賢治主任は「無事にやり過ごすことができた」と胸をなで下ろしていた。
2017年9月26日掲載
空撮 復興の大地(3)帯広市 札内川
札内川と戸蔦別川の合流地点に整備された真新しく白く輝く堤防。再びあの災いを繰り返さぬよう、農地やソーラーパネルを守るように大きく湾曲している。
十勝管内で復旧工事が本格化すると、作業員を多く割けない状況を知恵と工夫で乗り切った。現場所長を務めた宮坂建設工業の小田中英樹土木部参与は「着工時から地域の人の復旧への関心が高かった。出水期の前に完成してよかった」と、多くの人の期待を背負う中で完工できたことに安堵(あんど)していた。
帯広市内の札内川大正橋下流左岸は、延長300mにわたって堤防が決壊し、50haが浸水。家屋や倉庫、民間発電事業者のソーラー発電施設が被災したほか、農地の表土が流出した。 応急的な仮堤防の設置を経て、ことし9月上旬に元の位置に築堤を復元した。今後の増水に備えて、川表側には護岸ブロックを設置し再度の決壊を防ぐ。
2017年9月27日掲載
空撮 復興の大地(4)芽室町 美生川
芽室町上美生地区を流れる美生川。秋を迎え畑に作物が実る中、川の近くに黒土の一帯がある。昨年8月の川の氾濫により農地が流出したため、河川掘削土が補充された部分だ。
普段は穏やかな中小河川だが、当時の災害時はその表情から想像もできない濁流が周辺を襲った。芽室町の農地は全体で230haが被災。帯広開建は、迅速な復元に向けて河川工事で発生した土を提供している。
芽室町の手島旭農林課長は「河川掘削土がなかったら明らかに農家の自己負担があった」と話す。離農者が出ていた可能性もあったため、この支援策に感謝している。
一方、伊豆倉組が進める上美生橋の架け換えはまだ続いている。台風18号が上陸した際には10月に本復旧に着工する予定だったコンクリートブロックの欠損箇所で川の水が農地に流れ込む被害が発生した。町が元の姿に戻るにはまだ少し時間を要する。 (おわり)
2017年9月28日掲載