真砂徳子の起ーパーソン 風をおこす人々 第37回 NPO法人千歳ひと・魅力づくりネットワーク代表理事 三上 礼子(みかみ れいこ)さん

2014年03月07日 17時14分

 三上さんは、「市民協働」を推進する千歳市で、まちづくりの祭典「ふるさとポケ」をはじめ、地域活性の起爆剤となる仕掛けを数多く実現させてきた市民活動のけん引役です。NPOの機関月刊誌「市民文化情報ひろば」には、市民主催のイベント情報や医療・育児に関わる地域密着情報、地元有識者の寄稿などを掲載。まちの魅力や市民の声を伝えるメディアとして定着しています。地道な働き掛けで、市民が主体的に関わるまちづくりを喚起し続ける三上さんにお話を伺いました。

★NPO設立の意図は。

三上 礼子さん

☆三上 発端は、少子高齢化や住民ニーズの多様化を背景に、多くの地方自治体で市民共働のまちづくりが模索され始めたころ、千歳市で、その基本政策をつくる委員会が立ち上がったことでした。当時、母親有志のサークル活動に深く携わっていた私も市民の一代表としてメンバーに加わったんです。

 委員会は、千歳市のまちづくりについて、行政側と市民側が同じ目線で語り合う場。会は常に熱を帯びていましたね。

 千歳は北海道の空の玄関口。また、国立公園を擁する豊かな自然に恵まれた観光のまち。石狩管内一の生産量を誇る農業のまちで、工業都市でもあります。千歳の魅力について議論を重ねていく中で、多彩な魅力の背景にある「人の活力」こそが最大の魅力、まちづくりの柱ではないかと、意見が一致しました。

 「ふるさとポケット」は、市民活動を披露し合える機会。まちづくりのノウハウに長ける行政側のマンパワーと市民側のネットワーク力を束ね、企画・運営に当ります。私は、この千歳の人の活力が集結するイベントで、事務局を10年間担当。開催に当っては、県人会やサークルなど、活発な市民活動をつぶさに調べ、協力と参加を熱心に呼び掛けました。

 これを機に、それまで接触のなかった市民や活動団体がつながり、協力の輪がみるみる広がっていったんです。会場の青葉公園には、各県人会の郷土料理コーナーや、日頃のサークル活動を披露する展示ブースなど40張りものテントが並び、初回から想像以上の盛況でした。

 回を追うごとに規模を拡大するふるさとポケットに自信を深め、2003年にNPOを設立。行政、市民分け隔てなく「自分たちのまちは自分たちでつくる」という心意気でつながる人たちが、それぞれの持ち味を生かせるまちづくりを目指し、名称を「千歳ひと・魅力まちづくりネットワーク」としました。

★市民協働には、多くの市民が汗をかかねばなりません。市民活動の士気を維持し継続する鍵は。

三上 礼子さん

☆三上 まちのために何かしたいという前向きな意思や姿勢を尊重し、実現に向け即実行すること。その時湧き上がった新鮮な意欲が消沈しないよう努めています。

 思い出すのは2000年。その年のふるさとポケットの企画を検討する最中、音楽関係の市民団体から、イベントの一環で年末にミレニアムコンサートを開催したいと提案がありました。千歳にちなみ「千年蕎麦」と名付ける年越しそばを市民千人で味わう年越しイベントの提案も加わり、全体で取り組むことになったんです。

 早速地元の農家さんに畑をお借りし、6月には、有志とともにソバの種まき。実のなる季節を待望しながら、地元名人の指導の下、そば打ち勉強会も定期的に開催し、いよいよの大みそかです。

 会場はホテル日航千歳の大広間。ステージで優雅な音楽が奏でられる中、おそろいの法被を着た総勢50名の市民有志が千食分のそばを打ち、厨房(ちゅうぼう)では千食分のそばつゆ作り。隣接する小学校の2階で、カウントダウンを演出する光ファイバーまで仕掛ける凝りようで、市民が発案した市民のためのカウントダウンイベントを市民の手で実現させ、市長も含め多くの市民が顔を合わせ、音楽とそばを楽しみ新年の幕開けを祝いました。

 こうした実践を積み重ね、地域が一体となる感動を分かち合ってきたことが、市民協働の原動力になっているのではないかと想像します。

★市民協働によるまちづくりの成果は、目に見えるものばかりではなく、そこに関わった市民の心の中にも蓄積されるものなのですね。

三上 礼子さん

☆三上 ふるさとポケット初回のテーマは「人の魅力でまちは輝く」でした。私自身も、意気込む仲間たちのエネルギーに突き動かされ、思えば20年以上も一市民としてまちづくりに関わっています。

 NPOでは現在、市民協働のまちめぐりバスガイド事業にも取り組み、千歳の縄文文化を探るツアーや、千歳川の歴史に触れるツアーなどを企画・運営しています。

 これまで、千歳の魅力はさまざまで特徴が定まらないと思いがちでした。ところが、産業、文化、歴史を掘り下げてみると、それら魅力が千歳のまちという一つの生き物の中で融合しているかのように感じられるんです。NPOの主要メンバーも次世代への継承に思いめぐらす世代。私たちの尽きないまちへの愛着を未来に伝えていけたらと、皆とよく話をするんですよ。

 まちづくりの究極の目標は、そこに住む人が生き生きと幸せであり続けることではないかしら。世代が入れ替わっても、軸はぶれず、時代や事情によって試行錯誤しながら、人の魅力に溢れ心豊かな幸せな町をつくり続ける。まちづくりには終着点がないんですね。

取材を終えて

活動に限界をつくらず

 書家としても活躍する三上さん。創作には、受賞実績などに執着せず、常に〝今〟の自分が生きる書を生み出すよう向き合っているそうです。市民活動にも、限界はつくらず、いい子ぶらずに臨んできたという三上さん。起ーパーソンの型にはまらぬ発想と行動力に、心沸き立つインタビューでした。


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