夕張市は、清水沢地区への移転を構想している市立診療所について、基本計画策定業務を早ければ10月にも発注する見通しだ。2017年度中にまとめ、18―19年度に基本・実施設計、20―21年度に工事を進める予定。事業費には約25億7000万円を試算している。
社光6にある診療所(RC造、地下1地上3階塔屋1階、延べ9265m²)は、病棟と老人保健施設部分が1959年、外来棟部分が72年に建設された。もともとは10年に夕張炭鉱病院として開設されたのが始まりで、その後、市が82年に買収し、市立総合病院となった。06年に財政破綻したものの、07年4月からは診療所として存続させ、指定管理者制度を導入した。
施設や設備の老朽化が著しく、これまでにも機械室の電動弁や、非常用発電機の取り換え、地下室電気設備の復旧など、市は12―16年度の5年間で約8600万円を負担してきた。また、14年度に実施した耐震診断でも基準を満たしておらず、改修の必要性が指摘されている。
診療所は介護老人保健施設夕張と一体化しており、入院病床19床、老人保健施設40床の計59床。診療科は、総合診療科、整形外科、リハビリテーション科、循環器内科、婦人科、耳鼻咽喉科、歯科の7科体制で、指定管理者の医療法人社団豊生会が運営している。
移転改築に向けてこのほど、医療・福祉関係者や指定管理者などで構成する移転改築検討協議会を立ち上げ、基本計画に盛り込む内容についての協議を開始した。17年度は基本計画の策定費用として660万円を措置。こうした作業と並行しながら、17―18年度に建設場所を確定させる。
診療所は市民の外来利用率は高いものの、入院に利用されていないなどの課題があることから、実情に見合った整備を進める考え。施設整備に当たっては①市民が安心できる医療の提供②市民に安全で正確な医療の提供③20―30年後も持続的な安定した医療の提供―の3点を理念に掲げている。
協議会は、年度内にあと2回ほどの会合が予定されており、今後は全体の施設規模や、外来や入院、老健施設など部門別の施設整備の内容についても話し合う。