島牧村に新たな魅力 バックカントリースキーツアーを提供

2017年10月03日 07時01分

 後志管内の西南端に位置する島牧村。ここを訪れる外国人観光客数が、2015年度から始まったCATスキーツアーをきっかけに増加している。日中にスキーを満喫した後は村内の宿に泊まり、特産品のアワビに舌鼓を打つなど、地域の経済効果にも好影響をもたらしている。

 CATスキーとは、スキー場のように整備されていない自然の山を雪上車で登り、指定されたコースを滑走するバックカントリースキーのこと。まだ誰も滑った形跡のない新雪や、自然そのままの景色を楽しむことができる。

 島牧CATスキーツアーの運営を担うのは、ニセコに本社を置くJRTトレーディング。同社は12年に現地調査を実施し、村内の東狩場山がCATスキーの適地と判断し、村にツアー開催を提案してきた。

 近年の村の状況を見ると、人口が1500人台に落ち込んでいるほか、地元企業が立て続けに倒産して就労の場が減少。基幹産業の水産業のみでは将来が見通せない状況に追い込まれつつあった。

 こうした背景から、村は観光産業にも力を入れる方針を固め、CATツアー開催に向けた準備を開始。ツアーの主舞台となる東狩場山は国有林のため、村が林野庁に利用許可を申請し、貸与を受けることに。村で組織する実行委員会がツアーの事業主体となり、運営を民間事業者に委託する仕組みを整えた。

 一方、運営はプロポーザルによる業者選定の結果、JRTトレーディングが14―16年度の3年間を担当することとなった。しかし、全てを同社に丸投げするわけではなく、ツアー客を自然災害から守る対策は、村としても講じる必要がある。

 実行委員会の役場本部長を務める野崎泰生副村長は「当日に山を滑走できるかどうかは、あくまでも村側、実行委員会が決める。そこで山を視察する担当者と連絡を交わすための機材なども購入した」と話す。

 基本的にニセコ出発、帰着するツアーだが、村側の要請で村内への宿泊を組み込んでいる。15年度は1泊だったが、16年度は2泊に増えたほか、同社の提案により村内の飲食店とも提携。食事やカラオケも楽しめるようにした。

 ツアー参加者数は、初年度は参加者が177人(うち宿泊者数87人)にとどまったが、16年度はツアー期間の延長などもあり、465人(同437人)に上った。ほとんどはオーストラリアやアメリカ系の外国人。1人14万5000円のツアーだが、中には複数の家族客が数日借り切って、数百万円を支払うケースもあった。

 旅館の夕食で出される村特産のアワビ料理にツアー客は「銀座で食べたら数万円はする」と話し、割安で食べられる地方の魅力を満喫する様子も見られたという。

 このツアーは、村の観光入り込み客数確保に貢献している。初年度の15年度は過去5年間で最低の6万4600人だったが、翌16年度には7万9000人に回復。観光客の宿泊延べ数も、15年度から2500人増の1万5700人とプラスに転じている。

 野崎副村長は「JRTトレーディングからは、林道を自転車で走るツアーなどの提案も受けている。自然を生かした観光事業を、実現可能なものから実施していきたい」と意欲を示す。

 外国資本による開発が進む倶知安―ニセコ。その周辺で、規模は小さいながらも地域の魅力を生かして活性化を狙う自治体の姿があった。
(小樽)


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