風力発電で水素を製造 苫前町でNEDOなどが実証事業開始

2017年10月03日 19時00分
水素製造装置_NEDOらが苫前町で実験

水素を製造する装置をお披露目した

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と豊田通商など6団体は9月29日、苫前町で町営風車の電力を活用して水を電気分解し、水素を製造する実証事業を開始した。水素は11月から町内の温浴施設でボイラ燃料として使用。2018年10月までデータ分析を行い売電と水素販売の両立可能性を探る。総事業費は11億7000万円を予定している。

 NEDO、豊田通商のほか、NTTファシリティーズ、川崎重工業、フレインエナジー、テクノバ、室蘭工大が事業に参加。現在、政府は30年ごろまでに電源構成比率の2割強を風力など再生可能エネルギーにする目標を掲げている。

 しかし、風任せの発電は不安定で送電網に負荷をかけることから将来的には出力抑制による大量の電力余剰が懸念されている。そこで安定的な発電部分は従来通り売電し、余った電気で水素を製造することを構想した。

 現在、流通している水素は化石燃料から作られているが、風力発電で作られれば二酸化炭素を排出しないきれいな水素の普及にもつながる。

 こうした可能性の検証に向け、3基の町営風車が建つ夕陽ケ丘ウインドファーム風来坊の隣に水素製造施設、町営温浴施設ななかまどの館に脱水素装置と混焼ボイラを設置した。

 具体的には、気象情報を基に安定電力と不安定電力を分類し、不安定電力で水素を製造。水素は取り扱いやすくするためトルエンに吸着させ液体のMCH(メチルシクロヘキサン)に変換。

 ななかまどの館に液状で運んだ後、脱水素装置で水素を取り出しLPG(液化石油ガス)と混ぜて燃料にし、トルエンは再利用する。今回は既存のボイラを使うためメーカーから保証が得られずLPG7、水素3の割合で混焼することにした。

 実証に必要な風車を提供した森利男町長は「クリーンで純国産資源である風を活用できればCO2フリーで大気を汚染せず、疲弊した地域の活性化にもつながる」と期待を寄せた。


関連キーワード: エネルギー

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • web企画
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (2,978)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,378)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,317)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,268)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (895)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。