下刈り作業の軽労化で担い手確保を―。北海道造林協会は5日、ことし7月に設立した「釧路地域林業・木材産業担い手確保推進協議会」(菊池忠光会長)など関係機関と連携し、機械を活用した造林業の軽労化モデル現地検討会を弟子屈町の国有林内で開いた。堤防などを草刈りする下刈り作業機械のデモンストレーションや試乗を体験。72人が参加し、機械化に向けて課題を探った。(荒井園子記者)
道内の林業現場では、伐採作業をする高性能林業機械の導入促進などで丸太の生産体制が強化されている一方、保育の下刈りは従来型の肩掛け式の刈り払い機を使用した作業が大半を占める。
林業労働者の人手不足が課題となる中、伐採後の再造林を着実に進めるには植え付けや地ごしらえ、下刈りでの軽労化や効率化が必須だ。
検討会開催に当たって、北海道造林協会の巻口公治副会長は、2016年度から軽労化や省力化の研究を進めていることを説明し「機械は凹凸や急な傾斜は想定せずに製造している。改良につながるように意見を」と呼び掛けた。
現地の弟子屈町国有林4294な林小班は、16年に地ごしらえを実施。ことし5月に列間3m、苗間2―3・5mでグイマツF1を植栽したが、ササに覆われている。
下刈りで使用した機械は、筑水キャニコム製の自走式刈り払い機で搭乗型と手押し型の2台。免許や資格がなくても操作できる。メーカー担当者から説明を受け、参加者が下刈りを体験した。
釧路総合局林務課の逢坂喜代美係長、佐藤彩花主事の両女性が機械を操作。機械が苦手な記者も体験させてもらったが、簡単操作することができ「女性でも体に負担なく、無理せず下刈りができる」と実感した。
意見交換では、刈り払い機について、ササに隠れた伐根や枝条などの障害物や急傾斜での対応が課題に挙げられたほか、コストや燃費などに関する質問があった。
巻口副会長は「造林や地ごしらえ、下刈りの作業者はここ5―6年で2割減少」と警鐘を鳴らす。その上で「簡単に操作できる機械があれば、担い手確保のきっかけになる」と若年者や女性の就業に期待を込めている。