集え若手技術者 (2)研修生の成長と絆

2015年10月07日 13時01分

 稚内建設協会が初めて開催した若手技術者研修会。参加者21人の年齢層は10代が13人、20代が6人、30代が2人と、多種多様な顔触れが集まった。建設業での経験、社会人として働いた経験がばらばらなため、カリキュラムは建設業未経験の新入社員に合わせ、基礎知識の習得と社会人としての基本姿勢を学ぶことが柱となった。

現場を見学

 研修は実践と講義という2種類の授業形式を採用。手応えを感じる一方で、講義では集中を欠く姿も見られた。コーディネーターを務めたクラーク総研の藤元崇史さんは「講義でも実践時を想像できるような工夫が必要だった」と反省する。

 参加者は、この研修会をどう捉えたのだろうか。入社2年目で参加した安田建設(本社・枝幸)の本間翔大さんと可香谷耕太さんは、枝幸高の同級生で、同じ野球部で活躍した間柄。本間さんは「CADなどパソコン関係の仕事を覚えられたので、現場に戻ったら今より役に立てるはず」と自信をつけた様子で、可香谷さんは「まずは2級土木施工管理技士だが、車両系の資格にも興味がある。とにかく早く会社の役に立ちたい」とやる気をのぞかせる。

 本間さん、可香谷さんを送り出した安田建設の山下明男業務課長は「普通科高校の出身で、まだ2年目。分からないことだらけだと思うが、しっかり学び、立派な技術者に成長してほしい」と中長期的な目線で彼らを見守っている。

 研修中、若い技術者の兄貴分として活躍したのが、寺沢組(本社・浜頓別)の坂本南さん。経験者、年長者として研修に臨んだ坂本さんは「経験があるということで人に教えることもあり、どう伝えるかを考えることが自分にとってのプラスになった」と話す。

 北武建設(本社・稚内)の飯崎一志さんは、参加者中最年長の34歳。父である飯崎仁一社長の誘いを受け、システムエンジニアから転職した。現在は積算業務を担当するが、「内勤では経験ができない、測量やCADなどを実践ベースで学べた」と話し、「今後は1級土木施工管理技士の取得が目標」と意気込む。

 1カ月にわたる長い研修で、互いの絆も深まった。稚内建協の老田秀樹事務局長は「入校式のころはぎこちなかったが、今は非常に強い絆を感じる」と述べ、「業界内で若者は少数派。同じ年代、同じ研修を受けた仲間との出会いは、仕事を長く続ける上で財産になるはず」と期待する。

 それぞれの現場に戻った3カ月後、基礎知識の再確認や現場での経験を共有するため、フォローアップ研修会が開かれた。日焼けした参加者の姿は、すっかり技術者の顔となり、話す内容も現場内での失敗談や笑い話に変わっていた。

 クラーク総研の鈴木元マネージャーは「短い期間だったが、協力、刺激し合い、励まし合ってここまできた。このメンバーが将来の宗谷を盛り上げてほしい」と若者が描く未来に思いをはせていた。

(2015年10月7日掲載)


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