集え若手技術者 (3)鍵になる情報発信

2015年10月08日 13時02分

 「父親の背中は偉大と捉えるべきか、業界のアピール不足と嘆くべきか」。高校生の就職活動が解禁となる7月、稚内市内の高校で「建設業の魅力と役割」と題した説明会を終えた宗谷建設青年会の斎藤敬介会長は、先の発言をしながら苦笑いを浮かべた。建設業への就職を希望する生徒数人に、選択した理由を尋ねると、なんと全員から「父が建設業に携わっているから」という答えが返ってきたのだ。

 建設業が就職先として敬遠される理由として挙げられるのが、3K(きつい、汚い、危険)、冬場に仕事がないなどの安定しない職種、談合や天下りの報道といった悪印象ばかりが先行し、技術者としての側面や災害復旧などの活動実績をアピールする機会を逃してきた。

 宗谷管内の場合、高校や大学に工科系学科がないため、普段の授業と建設業の仕事が結び付くことがなく、卒業後の就職先に選ばれるためには、業界側が直接出向き、生徒に仕事内容や魅力などを伝えることが重要な鍵となっている。

普通科高校での就職説明会

 情報発信が就職に結び付いた成功例がある。今春、普通科の枝幸高から、田中建設(本社・枝幸)に就職した小林優希さんは「高校に来ていた就職説明会で、仕事内容などの話を聞き、今までなじみがなかった建設業に興味を持った」と話す。ただ、就職後は「分からないことが多く、焦りを感じる。早く一人前になりたい」と不安も口にする。

 実際に求人活動を行う採用担当者は現状をどう見ているか。今春、稚内市内の高校生5人を採用した石塚建設興業(本社・稚内)の飯塚剛総務課長代理は「高校に出向き、しっかり説明できたのが良かった」と振り返り、アピールの重要性を実感する。「普通科の生徒を一人前に育てることで、学校側からの信頼も厚くなる」とも話し、担い手の育成と確保は両輪であると説く。

 道建設部が主体となり、初めて開催した地域建設産業担い手確保・育成推進会議では、業界からの情報発信方法に議論が及んだ。教育委員会次長を経験した豊富町の岡本誠也建設課長は「高校や大学だけでなく、小中学校の時から業界に対するイメージアップを」と助言し、稚内高校の山田弘樹教諭は「業界に就職した自分を想像できるかがポイント。具体的にイメージするための材料を、生徒にもっと提供してほしい」と注文を付けた。

 業界として、本格的に担い手の確保・育成に乗り出したが、まだまだ課題も山積みだ。普通科の生徒を積極的に受け入れ、育て上げる環境を整備することで、他地域にはない、宗谷地域独自の新たな武器になることが期待されている。

(2015年10月8日掲載)


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