測量調査やシステム開発を手掛けるネクシス光洋(本社・旭川)は、農家の経営効率化に向けた「栽培履歴支援・農業情報支援システム」を開発した。同社が各農業団体とほ場データや地籍図を共有している既存システムに、栽培に使用した資材や農薬などが把握できる生産履歴システムやGAP(農業生産工程管理)システムなどを組み込み、タブレット端末でも確認できるようにした。今後はドローンによるほ場の撮影データも取り入れ、システムの精度を高めていく考えだ。
同社は、生産性の向上や、農地が被災した場合の早期復旧を図るため、ほ場の状況や所有者、作付面積といった基礎データを上川中部管内の市町村や農協、土地改良区など各農業関係機関と共有する上川中央部農業機関GISデータネットワークシステムを約10年前に構築。約3万8000haのほ場データが蓄積されており、情報精度を保つため定期的にデータ更新も進めている。
この膨大な基礎データをさらに活用することで、稲作農家の経営効率化に貢献しようと3年前から新システムプログラムの開発に着手。生産履歴やGAPシステム、農薬散布などの防除支援、ほ場ごとの栽培品種が一目で分かる耕地図システムなどを段階的に導入していった。さらに、高齢化が進む農業従事者にも分かりやすくするため、タブレットでもデータ閲覧や操作を可能とした。
新システムについて、森賀信之取締役は「当社はもともと測量設計を手掛ける会社。位置情報を大量に蓄積し、定期的に更新してきたため精度が高い」と特長をアピール。また、「旭川に拠点を構えているのでシステムに何かあってもすぐに対応できる」とも話している。
新たなシステムの開発に一定のめどが付いたことから、同社は日本政策金融公庫旭川支店中小企業事業の「新事業育成資金」を活用し、事業拡大を目指していく。
森賀取締役は「このシステムをまずは軌道に乗せたい。今後はドローンによる生産管理データを活用し、システムの醸成を図っていきたい」との見通しを示した。