札幌開建は11日、三笠市民会館で桂沢ダム完成60周年記念特別講演会を開いた。工事関係者や建設業者など約300人が参加し、桂沢ダムが果たしてきた役割や今後の可能性などについて考えた。
桂沢ダムは、流域の洪水被害軽減や、戦後の食糧増産と道内の電力不足解消などのため、国直轄の多目的ダムの第1号として、1951年に着工、57年に完成した。ことし完成から60周年を迎え、現在は既存堤体高を11・9mかさ上げし、総貯水量を1億4730万m³と大きく増加させる再開発工事を実施しており、「新桂沢ダム」として生まれ変わる。
主催者を代表し、札幌開建の宮島滋近部長は「建設工事や管理に関わった人たちのおかげでダムは機能し、60周年を迎えることができた。激甚化、局地化している大雨にも対応できるようなダムにしたい」とあいさつした。
特別講演では、道立総合研究機構の丹保憲仁理事長が「桂沢ダム60周年」と題し、工事の歴史や建設に携わった技術者などを紹介。「日本のエネルギーが自然エネルギーに転換された場合はダムのかさ上げによる対応が増える」など、ダムが持つ役割を強調した上で、「桂沢は道内のダムの先達になるようなダムだ。しかし川だけで地域ができることはなく、鉄道や道路、集落などがあって初めて地域ができる」と締めくくった。
前三笠市長の小林和男氏は「三笠市と桂沢ダム」をテーマに講演。ダム湖になったかつての町の様子や市民の暮らしぶり、建設当時の動画などを紹介し、「ダムの完成は三笠の市政への移行時期と重なり、二重の喜びだった」と振り返っていた。