JR北海道は12日、同社単独では維持が困難な10路線13区間について、発表からまもなく1年を迎える中、地域協議の進ちょく状況を公表した。石勝線新夕張―夕張間など協議が進む地域があるものの、多くの線区では協議会や個別市町村への経営情報など説明にとどまっている。
輸送密度200人未満の3線区は、札沼線が沿線4町の意見交換会で経営状況を説明し、線区の状況を各町に伝えた。富良野―新得間と滝川―富良野間を抱える根室線は両線区一体となった合同協議会で状況を説明。留萌線は全体での協議の場はまだなく、各市町への個別説明にとどまっている。
輸送密度200人以上2000人未満の8線区の多くは、各沿線の協議会や検討部会で状況報告を済ませ、石北線や富良野線、根室線など一部では利用促進策や経費節減策に関する意見交換も進む。一方、運賃値上げや上下分離方式など自治体も負担を負う課題については、どの線区も相談が進んでいない。
12日の記者会見で島田修社長は、上下分離方式も含めた議論に向けて「利用促進策などの具体的な議論が高まっていくことが大事」と話した。
また、高規格道路の延伸による鉄道利用への影響については「一般的にこの30年間の中で、高速道路を含めた高規格道路延伸の影響は鉄道利用者に間違いなく出ている。区間や路線ごとに具体的なデータが物語っている」と指摘している。
北海道新幹線札幌駅ホーム位置の地下案検討については「本来は昨年末までに結論を出すものが1年近く遅れている。できるだけ速やかに結論を出していきたい」と述べた。