新千歳空港の安全運行を支える 夜間の滑走路舗装維持

2017年10月16日 09時48分

 真夜中の滑走路はにぎやかだ。赤、青、緑、オレンジ、黄色の灯火が暗く広大な敷地に並び、回転灯を光らせた重機がごうごうと車体を鳴らす。ことし3月末から日中の発着枠が32回から42回に拡大し、ひっきりなしに飛行機が飛び交う新千歳空港。24時間休むことのない安全運航への努力が活況の土台だ。閑散とした空港ビルが再び活気に満ちる翌朝に向けて、夜間も絶え間なく維持業務で安全運航を支えている人々を取材した。(建設・行政部 本間 愛理記者)

新千歳空港夜間の道路維持作業の様子

朝まで分刻みの作業が進められる

 「こちら運輸開発1、現在地27番スポットです、どうぞ」「支障なし、どうぞ」

 3日夜遅く、札幌開建新千歳空港建設事務所の車両に乗り込む。2重のゲートを通り滑走路に入った車内では、管制塔や東京航空局と開建職員の無線のやりとりが続く。灯火以外に光はなく、位置感覚を失いかける。

 暗闇の中から急に工事車両の群れが現れる。第1ターミナル西側のかつて第2ターミナル整備の計画があった場所で、機材を積んだ車両が今か今かと出発を待つように整列している。

 案内してもらったのは新千歳空港A滑走路舗装老朽化対策の現場。重い機体を受け止める滑走路は、10―15年に1度のスパンで舗装を打ち換える。グルービングと呼ばれる排水用の細い溝の劣化も回復する。延長3000×60mの滑走路のうち、ことしは延長250mをNIPPOが担っている。

 行列の後を追って現場に着くと、既に切削機から白い粉じんが立ち上り、マスクの着用を促される。午後11時から切削を開始。長さ約20mの切削機を同時に3台稼働させる。濃いアスファルト臭が漂う中、がしがしと作業が進む様子に迫力を感じる。午前1時ごろから舗装に入る。道路の現場では見掛けない最大幅8・5mのアスファルトフィニッシャーで敷きならす。

 「昼夜逆転し、慣れるまで体調を崩しやすく、少しでも天気が悪いと中止になる現場」。現場代理人の斉藤慶之さんは厳しさを指摘する。約50人の作業員はほぼ固定メンバー。灯火は折れるから近寄らない、油漏れはアスファルトの劣化を招くので厳禁、決めたルート以外は通らないなど、空港特有のルールを徹底して指導した。

 回を重ねた今は「みんな慣れて自分の役割を分かっている」と手応えを感じる。施工時間は当初より30分程度短縮され、余裕も出てきたという。

 少しの遅れでも多くの人に影響が出るので、滑走路を引き渡す時間はずらせない。午後11時から午前6時までの作業時間の厳守が求められ、準備や撤収の時間を除くと施工にかけられるのは実質5時間程度。タイムスケジュールは分刻みで作る。時間を無駄にしないため、機材は1台ずつ予備を待機させ、トラブル発生時は即座に入れ替える。

 撤収時は作業員が滑走路を横一列に並んで路面をくまなく点検。「石ころ一つでも」と斉藤さんが神経をとがらせるのは、小さな異物でもエンジンへの吸い込みやタイヤのパンクにつながるからだ。

 ふと周りを見渡すと、滑走路脇の緑地の除草や駐機するエプロンの修繕など、さまざまな維持業務が同時に進んでいた。朝には何事もなかったかのように滑走路は機能を取り戻し、飛行機の往来が始まる。現場を案内してくれた新千歳空港建設事務所の中村誠所長は「公共事業の中で維持は目立たない。しかし、一番重要だ」と力を込める。

 道が掲げる外国人来道客数500万人達成のための拠点空港として、新千歳空港は今後も発展を続けるだろう。その大前提となるのは安全運航。国際線ターミナルビル拡張や誘導路新設などの工事が順次進むが、日の当たりやすい工事だけではなく、皆が寝静まった夜の維持業務も大きな役割を果たしている。

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