札幌市市民文化局は、現地改築を目指す中央区役所の整備計画検討に当たり、仮想現実(VR)システムを導入する。現実のような仮想空間で直感的なシミュレーションができるVRを基盤として、多くの関係者が長期間検討を続けられる環境を整える。周辺の現況をデータで再現し、そこに新庁舎モデルを重ねることで、建物配置や動線検討に役立てる。
VRはデータ化した空間や対象物をコンピューターで処理し、認識させる技術や仕組み。現実に近い形で街区や建物を映像化し、経験や知識に関係なく空間や対象を「見える化」することで、情報共有や意思疎通を深めることが狙い。市の大規模建築物整備に当たり、事前の基礎検討段階でVRを導入するのは初めて。
従来は平面図や立面図、完成予想図を使うのが一般的だが、図面に不慣れな人は立体的なイメージが把握できず、細部の検討が難しくなる場合があった。今回は多くの事務部門が関わり、事業も長期に及ぶため、システム導入に踏み切る。
2018年3月までに、南3条西11丁目周辺の街並みを再現したデータや、検討中の新庁舎モデルを組み合わせた空間検討用プラットフォームを作製。
簡単にモデルを動かしたり変更できるようにして、配置や外観、周辺への影響や人や車両の誘導検討に活用。進ちょくに合わせ建物内部の計画にも役立てるほか、将来的には他の区役所整備への活用も考えていく。
街並みのデータは、現区役所を中心に700m四方、約50haが対象。主要道路や大通公園周辺は建物に現実の写真を反映するなど、リアルな風景を再現する。
庁舎は最大で延べ1万6000m²から2万m²弱で検討している案を複数モデル化。外構を含め4000m²を基本に、3層までデータ化する。
16日付でシステム作製業務を一般競争公告した。都市開発やまちづくりで30ha以上、建築で延べ1万m²以上のVRコンテンツ作製実績を求める。25日午前10時30分から入札する。