北海道・モンゴル経済交流

北海道・モンゴル経済交流(1)

2017年10月19日 10時13分

北海道企業に商機あり

 調査会がウランバートルへ派遣団

 昨年発足した北海道モンゴル経済交流促進調査会(会長・武部勤在札幌モンゴル国名誉領事)が9月、ウランバートルに派遣した経済ミッションに参加してきた。モンゴルを訪れたのは道内の企業経営者と道経済産業局、道、札幌市など官庁から総勢30人で、団長は自民党元幹事長の武部氏だ。外務省でのビジネスフォーラムやモンゴル企業とのマッチング、さらには会沢高圧コンクリートの現地法人や国立科学技術大学の訪問など盛りだくさんの交流を通じて、寒冷地のモンゴルで北海道企業の商機は大いにあると感じた。(編集局長 小泉昌弘)

 石炭など鉱物資源大国であるモンゴルは、ロシアと中国に挟まれ長くソビエト連邦の影響下にあった。ソ連が崩壊し1990年、モンゴルも一党独裁の社会主義政権が崩れ市場経済化が始まった。現在はロシア、中国との関係再構築を模索する一方で、アジアの先進国、日本の資金と技術に積極的なアプローチを図っている。北海道企業の活動は活発で、特に寒冷地技術を持つ建設関連企業の進出はモンゴル側の関心も高く、既に多くの企業が進出している。

首都ウランバートルの様子

急速な都市化が進む首都ウランバートル

 9月11日、モンゴル国外務省で行われたビジネスフォーラムで、武部会長は「北海道も過去は冬眠と言われ、道民とクマは寝ていた。しかし今は冬も道路建設を行っている。道民は経済活動を休むことなく続けている。こうしたことをモンゴルの方に学んでいただく」とモンゴルで北海道企業の経営手法や技術を提供する意義を語った。

 これに対して有力な国会議員で屈指の企業グループを率いるモンゴル北海道経済交流促進調査会のL・ボルド会長は、両調査会の交流は「地域交流にとどまらない、日本とモンゴル間の経済交流の新しいモデルになる」と期待感を表明した。

 フォーラムはモンゴル企業の経営者や関係省庁の役人らが見守る中、ミッションに参加した道内企業経営者が順次、自社の紹介とモンゴル企業へのアピールを行った。これに先立ってHIECC(北海道国際交流・協力総合センター)研究員の吉村慎司氏が基調講演。「日本の企業はお金持ち、取るだけ取ろうでは駄目だ。日本の企業はビジネスをしに来ている。JICA(国際協力機構)ではない」と、政府開発援助の実施機関であるJICAを引き合いに、資金援助に頼りがちなモンゴル企業のビジネス姿勢を戒めた。

 企業紹介のトップを務めたのは、北見市に本社を置き福祉サービス施設「夢ふうせん」を道内で幅広く展開しているエムリンクホールディングスの本見研介社長だ。同社は既にウランバートルにモンゴル支社を置いている。

 本見社長は、日本では高齢者の介護を第三者、他人がすることになってきたと指摘。「福祉サービスは成長する。小さな施設を街の中にたくさん設ける方法を取っている」と話し、施設は「建物ではなく、そこで働く職員の教育が大切」だと強調した。

 その基本はあいさつや思いやりなど幅広く愛を表現するハワイの言葉「アロハ」だという。その上で「モンゴルにおける高齢者、子育てのサービスを提供したい」と訴えた。

2017年10月17日掲載


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