札幌市建設局は14日、3回目となる土木施設めぐり女子ツアーを実施した。土木を学ぶ女子学生9人と女性技術者11人が参加。現場見学やお茶会での交流を通じ、建設業の魅力や業界で活躍する女性の働き方などについて理解を深めた。
市の建設業人材確保・育成支援事業の一環。学生側は札幌工高、北海道科学大、北大、北海学園大、技術者側は清水建設や伊藤組土建、勇建設、砂子組、一二三北路、道路工業、ひまわり建設などから参加があった。
はじめに訪れた澄川高架橋耐震補強の現場では、2班に分かれて作業を体験。落橋防止構造の躯体に設置したアンカーボルトが、規定の長さかを超音波探傷器を使って確認した。再整備を進める月寒公園D工区の2現場では現場内に設置している女性用トイレの内部を見学したほか、苗穂駅前広場連絡歩道橋梁新設の現場も巡った。
この後、一行は赤れんがテラスに移動してお茶会を開催。伊藤組土建土木部工事課の佐々木裕子さんは、専業主婦を経て子育てしながら女性技術者に復帰した経歴や、現場配属時と本社勤務の1日の流れを紹介した。
家庭と仕事の両立は可能としつつ「生活要素の順位が変化し、業務内容を変える必要がある場合も」とし、現場配属時は朝礼への参加を断念したと説明。「今も試行錯誤の段階。今後も会社と相談して楽しみつつ働ける方法を見つけたい」と話した。
フリータイムでは、学生から「今の会社を選んだ理由」「女性だから入社後苦労したこと」などについて質問が挙がり、技術者たちは「男性は優しく、スコップを持っているだけでも心配される」「女子はあまり興味がない機械や車などの話題で話が盛り上がってしまう」と実情を明かす一方、「職場が明るくなったと言われ、知らないうちに自分が緩衝材になっていた」と、女性ならではの雰囲気や気遣いが職場の環境づくりにつながっていることも伝えた。
北海学園大工学部社会環境工学科3年の佐々木莉織さんは「これまで土木業に関する情報が少なかったが、女性技術者の話や業界が女性の活躍を求めていることを知れて良かった」と話した。
昨年は学生、ことしは技術者として参加した一二三北路の鳥潟ゆきさんは、現場のことが分からないという学生の不安に対して「測量などを学校でしっかりと学び、知識を得ることが今後にもつながる」とアドバイスしていた。