太陽光発電の建設やメガソーラー架台の開発で先駆的な存在の伊藤組土建(本社・札幌)。山下斉之営業部担当次長は、キルギスとカザフスタンを訪問し、自然エネルギー技術の普及に向けて現地調査してきた。
同社は協力会社の両面発電型太陽電池モジュールと、再生可能エネルギーや商用電力の複合システムとを連携させて海外に進出し、ビジネスチャンスを広げるとともに国際貢献を図る。
相互連携の優位性として山下次長は「砂漠などの軟弱地盤や丘陵地に設置できる架台がある。両面発電パネルは少ない面積で発電量がアップし、自然エネルギーを適正に合成して損失が抑えられる」と強調した。
キルギスでは、小規模ながら一部で再生可能エネルギーを実験的に設置している。気候条件は太陽光発電に適し、日本企業の進出を期待しているものの、経済危機や電気料金の安さなど問題が立ちはだかる。
しかし「水力発電のポテンシャルが高く近隣国への輸出が可能だ。橋梁や道路、下水道、建築物などインフラ整備が早急に必要と考えられる」と報告した。
一方、カザフスタンは経済状況が非常に悪く、昨年の変動相場制導入で自国通貨が大暴落。原油価格も低下している。ただ、政府や国民も再生可能エネルギーへの関心が高く、ドイツ企業がメガソーラーで売電を行っている。
2014年から固定価格買取制度(FIT)が始まり、15年の再エネ率は1.5%となった。今後、20年に3%、50年では50%を目標に置く。財政環境に逆風もあるが、「国の支援も多く、事業の可能性は高い」との見通しを示した。
(2016年2月18日掲載)