東日本大震災復興への歩み ④建設会社こそBCP

2016年03月09日 10時37分

 仙台市内に本社を置くある建設会社は、東日本大震災の発生と同時にBCP(事業継続計画)を発動させた。1時間後に道路の安全点検に回り、24時間以内に応急復旧の協力体制を構築して施工中物件の2次災害を防止。48時間以内に施工物件の被害を確認し、72時間以内に応急措置を終わらせた。同社の社長は「地域を支える建設会社にこそBCPが必要だと確信した」と振り返る。

 BCPの目的は①従業員を守る②企業を存続させる③地域の活力を守る―の3つ。道建協は北海道開発局、道と災害協定を結び、岩田圭剛会長は「地域の信頼に応えなければならない」と宣言した。

秋元市長に提言する岩田会長(右)

 道内最大都市の札幌市を所管する札幌建協は、市が1月に策定した地域強靱(きょうじん)化計画に反映してもらうため、主要インフラのぜい弱性を克服する計画をまとめた。高速道路ネットワークの強化や広域防災拠点の新設、公共施設の耐震改修を推奨し、道外や海外も支援対象に置くバックアップ拠点の役割を提言した。

 建設業者の役割としてBCPを効果的に利用し、地域の建設業が存続できるよう、技術力向上や人材育成など経営基盤の強化も決めた。秋元克広市長は「いざというときの備えや代替措置は、企業の投資意欲の呼び水にもなる」と評価。多くの提言を強靱化計画に引用した。

 本道の政治と行政、経済の中心である札幌市。市は強靱化計画で「北海道における札幌」を基本スタンスに据えた。道や市町村との連携を促進し、道内全体で災害対応力を強化する必要性を打ち出している。

 このため市は、道や人口10万人以上の自治体との会合の場を2013年度に設け、災害時の情報伝達訓練や訓練を踏まえた研修に取り組んでいる。

 市建設局の高田耕業務課長は「訓練などで、動いて分かることがある。災害時に札幌市が求められるのは職員派遣だと思う」と話す。

 被災地に派遣された市建設局の高久政行道路維持課長は「技術職員の多さが市の強み。10区ごとに災害防止協力会を有し、災害対応への機動力もある」とし、被災地への派遣が札幌の防災をあらためて考えるきっかけになったという。

 派遣中に痛感したこともある。「災害が起きたとき、何にどう対応して備えるかといったマニュアルを大混乱の中で忠実に実行するのは無理だと思った。大切なのは情報をどう整理し、意思決定していくか。頭でっかちはだめだ」

 東日本大震災は『一人一人がどうやって判断をするか』を問う機会にもなった。

(2016年3月9日掲載)


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