経済再生へ国主導望む
北海道建設業協会としては、実体経済を刺激することで、地域の経済再生や地方創生につながる好循環を期待している。欧州で取り組むマイナス金利政策は負の側面ばかりでなく、不動産価格の高騰など経済を後押しする効果も生まれている。
道内の主要金融機関は企業への貸出金利の引き下げについて方針を打ち出していない。公共事業削減の影響で体力を消耗している建設会社に円滑な融資が実行され、本道経済が再び活性化する効果的な政策となるよう国主導の指導体制を望む。
マイナス金利政策が奏功し、民間企業の設備投資などが誘発されれば、分譲マンションやオフィスビル、商業施設など民間工事が復調する観測もある。ことしの秋口には、来年4月から税率が10%に引き上げられる消費増税を前に駆け込み需要が期待されるが、一過性でなく増税後も景気の落ち込みを緩和する政策を求める。
2012年の安倍政権誕生から公共事業をめぐる環境は、アベノミクス効果で回復の兆しが強まった。しかし15年度は北海道開発予算の当初予算が伸びたものの、補正予算(繰り越し)が急減し、発注量は失速した。早くから〝夏枯れ〟が叫ばれ、企業経営にまた暗雲が立ち込め始めている。
1月にはようやく補正予算が成立したが、16年度北海道開発予算は超微増の見込み。経済・財政再生計画(16―20年度)もスタートし、公共事業に逆風が予想される。地域間格差や企業間格差が表面化している本道建設業界を取り巻く環境は厳しさを増すものと推察される。
地域建設業は社会資本整備の担い手であり、今後需要が高まる老朽化・長寿命化対策を進め、地域の安全・安心を守る責務がある。これ以上、地域建設業の倒産や廃業、解散が進むと、地域は衰退から消滅の危険性を帯びることになる。必要な公共事業の確保が不可欠である。
この政策が景気に有利に作用し、建設業で働く人の給料や賃金、待遇が改善されるような効果を生むことを期待する。
(2016年3月12日掲載)