函館建設業協会と日本建設業連合会は19日、函館工高環境土木科1年生を対象とした北海道新幹線渡島トンネル(天狗)ほかの現場見学会を開いた。40人の生徒は、多くの人が協力し、長い年月をかけて完成させるという、建設業の魅力の一端に触れた。
総延長32・7㌔、完成すれば国内の陸上トンネルとしては最長となる渡島トンネルのうち、天狗工区は北斗市中山の4・6㌔区間が対象。鉄建・アイサワ・西江・北土共同体が2015年12月から22年8月までの工期で施工している。NATM工法でこれまでに斜坑を689mまで掘り、進ちょく率は16.1%となっている。
現場事務所で日建連の名越次郎常務執行役が「若い皆さんに現場を見てもらい、建設業を知り、ぜひ将来携わってもらいたい」とあいさつ。続いて鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局北斗鉄道建設所の玉井達毅所長が、新函館北斗―札幌間は延長約211㌔のうちトンネル区間が8割を占めることなどを紹介した。
鉄建建設の由布壮一郎同トンネル作業所長が工事概要や施工手順などを説明した後、生徒たちは坑内に入り、歩きながら湧水の処理や支保工などを確認。切り羽ではドリルジャンボによる削孔デモンストレーションの迫力に驚いていた。
見学後、生徒からの「仕事のやりがいを感じるときは」との質問に由布所長は「トンネルだと貫通時。壁の向こうから明かりが入ってきたら、苦労など全てが報われる」、玉井所長は「新幹線が開業して皆さんに乗ってもらえたとき」とそれぞれ答えた。
最後に生徒を代表して佐々木柊二さんが「きょうの経験を生かして、将来のことを決めたい」と感謝と決意を示した。