課題は「金融」にあらず
マイナス金利政策で景気が動くと思ってはいけない。道内経済の課題は決して「金融」ではない。金融緩和で銀行が融資しやすい環境にあり、出資する人もたくさんいる。つまり、資金がないから事業ができないのではなく、ビジネスチャンスを見いだせていないからではないか。
資金がある人は、ほかの金融資産に変えておこうという考えから、ドルや株にする動きは当然あり、それで実際にドル買い、円売りで円安が起こった。一方、資金を活用して設備投資、消費活動をする動きが大きくなっていない。
はっきりしてきたことは、金融政策は引き締める時には効くが、緩める時は効果がない。お金を潤沢に配れば経済が回るという発想が、もう行き詰まっている。
そこで景気対策をどうするべきか。経済界で主導的立場な人や企業が、どこで経済が伸びていくのか、伸ばしていくのかということを真剣に考えなければいけない。
北海道には何があるかといえば、「食」と「観光」だ。マーケットは大きいし、ブランドも強いのでこれは可能性がある。積極的に投資するべきだ。「お金」ではなく「モノ」の経済だけで考えよう。
では、どうやってビジネスチャンスを生むのか、3つ提案したい。
1つは起業すること。北海道新幹線の開業で函館に大勢の観光客が入ってくる。もっとホテルがあってもいい。カルビーのポテトチップスなどは、道産ジャガイモで次々と新商品を作っている。道内企業も頑張ってほしい。チャンスをつかまえてやろうという起業家精神をもっと持つべきだ。
2つ目は、今の事業をもっと拡大すること。鶴雅グループは、本拠地の阿寒だけでなく、道南の大沼までホテルを構えるなど、積極的な動きを見せている。
3つ目は再生。事業の整理整頓、選択と集中をし、場合によっては不採算部門を売るとか、そういうことをしなければいけない。やめるものはやめて、伸ばすところは伸ばす。それこそが再生だ。
建設業も成長期にある分野を見つけ、新しい工場を建てようとか、そのための土地を用意するとか、どんどん設備投資の提案をしてほしい。
(2016年3月16日掲載)