モンゴル企業は事業多彩
ビジネスマッチングで協力求める
国立モンゴル科学技術大学を訪れた後、ウランバートル市内のホテルで、モンゴル企業のプレゼンを聞き、ビジネスマッチングに臨んだ。モンゴル企業は実に多彩だ。手渡された企業一覧を見ると「家電販売とPCメンテナンス、システム開発」「銀行」「ブランド衣料輸入販売」「鉱山、ノンバンク、観光」「観光、人材派遣」「レジャー施設運営」「建築、コンサルタント」「鉱山関連品の輸入販売・製造、農業」「電気関連部品輸入・販売」「不動産、ノンバンク、貿易」「空調システム」などが事業として並ぶ。
1企業1業種ではなく、多彩に手を伸ばしている。こうした企業の姿に、1990年以降の市場経済化の模索がまだまだ続いているような印象を強く受けた。
建設関連のコンサルティングを行うガンガンジルコンサルティングは、2011年に6人の技術者で起業した。現在は15人となり、「建設投資家にコンサルティングを行う」といい、①モニタリングと評価を行う②使用中の建物の安全評価③完成後、国の基準に適合しているかコンサルを行う―ことを主な事業としている。コンサル事例を紹介しながら、ウランバートルの都市計画で「日本の皆さんと仕事をしたい」とアピールしていた。
10年創業のハスグンジも16人の株式会社だ。貿易や鉱山機械の販売、タイヤやベアリング、マスクの販売も行っているという。しかしプレゼンの主眼はビニールハウスだった。「北海道のビニールハウスのノウハウをモンゴルに導入したい」と。
ブランド衣料輸入販売のBTFは06年の創立だが、国内に17支店、80人を雇用、売上高は400万ドルという。「昨年は12万人に販売した」ともいい、来年には日本のアウトドア製品のブランドであるモンベルの店を開店させる予定だ。そしてユニクロやABCマートなどと連携したいと協力を訴えた。
「野心的ではあるが」と前置きし「モンゴルのアマゾンを目指す」とオンラインショッピング事業に意欲を見せ、投資を呼び掛けた。これには心得たもので「これまではお金を頼んだ、物乞いをしてきたが、これからはお互いに利益を出す時期にきていると思う」とも付け加えたことが印象に残った。
98年に貿易会社として設立したD&Lグループは不動産、レストラン、パブ、カラオケ、ノンバンクそして観光事業を手掛けているといい、砂漠での観光施設整備と、養護施設建設に協力を呼び掛けた。
ほかにも、さまざまな業態の事業体が日本企業に向けて協力を呼び掛けたが、おおむね若い企業で事業も多角的だ。しかし、どういう関連性があって複合展開しているか不明で、通訳を通じての訴えを一通り聞いただけでは、ファイナンス的にも不安が残るのではないかと感じた。
市場調査を目的に参加した北海道銀行国際部の三上訓人ロシア室長兼上席調査役は「10年後は面白い」という。「政治イコールインフラという考え方があるが、今はまだ政治が安定していない」からだ。
三上室長は決済についても不安を感じていた。「ロシアでは政府が3、4年経っても支払わない例がある。モンゴルも同様では」と語り、「代金回収に悩みがある。そこに銀行が入り、政府の資金を、あるいはファンドをつくったりと、確実に回収できる仕組みをつくるべき」とマッチングの際にモンゴルの銀行に提案してきたという。
2017年10月21日掲載