義肢装具製作のPOライフ(本社・札幌)は、医師の処方に基づいた脚や腕の装具、整形靴を1点ずつオーダーメードで作っている。中でもインソール(中敷き)に力を入れており、最近はCADを使った製作システムを導入。足裏から体のバランスを整えることで、筋肉の負担軽減や長期的な疾患対策に効果が期待できるという。近年は病気や障害の治療に当たる患者だけでなく、足や膝に痛みを抱えるスポーツ愛好家などからも徐々に注目されるようになってきた。
POライフは2004年創業。尾田裕彦社長は島根県出身で、高校卒業後に地元の義肢装具メーカーに就職。在職中に知り合った国立障害者リハビリテーションセンター学院教官の勧めで、29歳の時に札幌に移住。「患者に寄り添った仕事がしたい」と36歳で独立した。
義手や義足のほか、腕や脚の装具などを製作する。特に小児用装具は完成度によって、患者が将来獲得できる能力や生活の質に差が出るため、研究と技術の研さんに注力している。
近年はインソールに力を入れている。尾田社長いわく「インソールは足の痛みを改善するだけでなく、足裏からバランスを調整することで、姿勢や体の使い方を整えることができる」という。
整形外科の医師の処方が基本となるが、実際のインソール作りに至るまでは、患者との問診に多くの時間を割く。普段どんな靴を履いているかや、歩き方などを観察。足を見たり触ったりしながら、正常歩行できるための改善策を考えていく。
問診が終わると、フットプリンターと呼ばれる道具を使って型取り作業に入る。転写シートで足跡を撮り、さらに専用スポンジで足の形状を3次元で把握する。
それらを3Dスキャナーで読み取ってデータ化。土踏まずやO脚対策などの矯正を加え、設計データを切削機に送ると、足に接する面を自動で削り出す。その後、グラインダーによる手作業で微調整と靴との適合面を整え、完成となる。
料金は2万円程度。医師の診断による治療用装具には健康保険が適用され、7割から全額の補助を受けられる。道央圏を中心に、医師や病院の紹介に応じてくるのもPOライフの特徴だ。
近年は脳卒中による片まひや出生直後の脳性まひを抱えた人だけでなく、仕事やスポーツで膝や腰を痛めた人などの相談にも応じている。
尾田社長は「インソールの効果は実際に履いてみないと、なかなかイメージが付かないもの。足の痛みや身体のアンバランスから来る膝や腰の痛みを抱える人には、ぜひ相談に乗らせてほしい」と話している。