道と、札幌や函館など特定行政庁10市は24日、旧耐震基準で建築された大規模建築物の耐震診断結果を公表した。震度6強から7の地震で倒壊・崩壊の危険性が高いのは117棟でホテル三浦華園(滝川)やホテル大雪(上川)、市立三笠総合病院などが該当した。耐震改修や建て替えが未定の施設もあることから、道は補助制度の活用を促し、耐震化を進めていく方針だ。(関連記事2、5、10、11、12面)
2013年11月の耐震促進法改正で不特定多数が利用する大規模建築物は、耐震診断の実施と結果の公表が義務化された。全国では結果の公表が進んでいたが、本道は対象件数が多いため、用途ごとの取りまとめや所有者への確認に時間を要しており、全国で45番目の公表となった。
公表対象は、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた病院やホテル・旅館など不特定多数の人が利用する施設や、避難する上で配慮を要する人が利用する小中学校などの大規模建築物。道内では公共建築物が560棟、民間建築物が167棟の計727棟が対象となった。
耐震診断は、震度6強から7の大規模地震に対する倒壊・崩壊の危険性を測るもので①危険性が高い②危険性がある③危険性が低い―の3段階で評価した。
倒壊・崩壊の危険性が高いと評価された117棟のうち、ホテル・旅館の36棟が最も多く、学校が21棟、庁舎などが17棟と続く。倒壊・崩壊の危険性があると診断されたのは59棟。学校が23棟と最多で、次いで百貨店・マーケットなどの店舗が11棟、病院・診療所が7棟などとなっている。耐震性基準を満たしているのは520棟、耐震改修中が13棟、診断結果の未報告が18棟だった。
公共建築物で、耐震性が不足しているのは14.8%の83棟だった一方で、民間建築物は55.6%に当たる93棟に上っている。改正耐震改修促進法では、改修の実施までは定めておらず、努力義務にとどまっているため、耐震化が進んでいない現状がある。
道は「旧耐震基準であっても震度5強程度の中規模地震では倒壊する恐れはない」とし、国や道などの補助制度の利用促進を図り、改修を進めていくとしている。
掲載記事は北海道建設新聞でご覧いただけます。
・ピヴォ改修 4プラ建替 大規模建築物の耐震対策(2面)
・道と札幌市分大規模建築物の耐震診断結果(5面)
・旭川市公表分「18施設で危険性が『高い』」(10面:道北・空知版)
・函館市公表分「倒壊Ⅰ判定は5施設に」(11面:日胆・函館・後志版)
・札幌市公表分「民間13棟、建替など計画」(12面:さっぽろ圏域版)
詳しくは2017年10月25日付けの紙面をご覧ください。