北海道で未来に残る建物を
「ここしかない。地元の北海道で未来に残る大きな建物を残したいから」―。学生時代、見学に訪れた中山組(本社・札幌)で、自分の未来図が見えた気がした。だから就職活動は一点勝負。後がない不安を吹き飛ばし、夢の実現へ第一歩を踏み出した。
祖父が建築業を営み、父が土木会社に勤務する建設一家の長男。建設業は小さなころから身近にあり、祖父の住宅造りの仕事にあこがれた。
父の助言もあり建築を選び、道工大(現道科学大)の空間創造学部建築学科に進んだ。学生時代は大手住宅メーカーで就業体験したが、それ以上に見学で訪れた中山組のマンション新築現場が鮮烈だった。「何もない所に大きな建物を計画通り造り上げる様子に、ぐっときた」
建築事業部に配属となり4月下旬から技術員として、石狩市新港地区の民間廃棄物処理施設新築現場で勤務する。
「知らないことばかり」と不安を募らせ、メモ帳を手放せない毎日。だが、てきぱきと仕事を進める先輩に憧れ、現場を指揮する日を思い「今は学ぶ時」と前を向く。
一足早く別のゼネコンに入社した弟は仙台で働く。経験では一歩リードされたが「負けていられない」。いつか、祖父や父、まだ3歳の下の弟を交え、「それぞれが手掛けた現場や、造ったものを語り合える時が来れば」と夢を膨らませる。
(2016年5月18日掲載)