おとなの養生訓

おとなの養生訓 第3回「お酒と脱水」 水分補給し二日酔い防止

2012年09月03日 13時39分

 よくビールを飲むとトイレが近くなると言われます。実際、ビアガーデンに行くとトイレは大盛況。札幌大通りのビアガーデンではトイレの確保が毎年の悩みで、仮設トイレには長蛇の列が出来ます。この現象は、もちろんビールの量が他のお酒に比べて多いことと関係があるのですが、それだけではありません。

 実は、アルコール自体におしっこを増やす作用があるためなのです。人のおしっこの量を調節するホルモンは数種類ありますが、そのうち、おしっこから水分を回収して、体の水分を保持する役割をもつものをバゾプレッシンといいます。

 このホルモンは脳の視床下部という場所の神経細胞によってつくられて、下垂体という場所から血液中に分泌されます。つまり、脳がバゾプレッシンを作るのですが、アルコールはこの作用をあっという間に抑えてしまうのです。

 なので、おしっこからの水分の回収は停止して、おしっこの量が飛躍的に増えてしまいます。つまり、ビールで考えても、飲んだ量以上の水分がおしっことして失われることになるのです。量がそんなに多くない焼酎やウイスキーでも、アルコールの摂取量は変わらないわけで、結局、たくさんの水分が失われることになるのです。

 暑い盛りで、汗をたくさんかいているときに、お酒ばかり飲んでいると、おしっことして体からよりたくさんの水分が失われて、脱水状態になる危険性が高まるわけです。日中のビアガーデンなら、熱中症すら引き起こしかねません。

 夜の飲酒でもお酒だけなら、翌朝に脱水状態を持ち越すので、頭痛、吐き気、めまいなど脱水に起因する症状が現れます。そう、つまり二日酔いの症状の大半は、アルコールによる脱水のためなのです。

 アルコールによる脱水を避けるには、飲酒中にこまめに水を飲むことが大事なのです。ですから、ウイスキーのチェイサーは理にかなっているのです。私の先輩で日本酒を飲みながら、チェイサーを頼むひとがいますが、さすがの養生法です。

 本当はビールを飲んだ後にも真水を飲んでいただきたいところです。そして、翌朝のために、寝る前にコップ二杯のお水を飲んでから、床につくことをおすすめします。もし、夜中に目が覚めてトイレに立ったら、もう一杯のお水を飲んでください。これで、よほど大量に飲酒しない限り、二日酔いは防げるでしょう。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • 古垣建設
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,372)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,294)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,293)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (1,107)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,043)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。