おとなの養生訓

おとなの養生訓 第22回「晩酌」 緊張感なく酔い回り早く

2013年05月28日 18時19分

 晩酌という言葉があります。これは文字通り、夕方あるいは夜にお酒を飲むことをさしますが、通常は、自宅で夕食とともにお酒を飲むこと、あるいは、お酒とつまみで夕食の代わりとすることを意味していることが多いようです。最近は晩酌セットなんて居酒屋でやってますが…。

 親しい飲み友達などと話していると、必ず意見が合う事柄に、「晩酌は回りが早い」というのがあります。確かに、宴会や飲み会等に出ると、1次会だけでは足らずに、2次会、3次会と回って、さんざんお酒を飲み続けるのに、家で晩酌してると、ビールを1缶飲めば、もう酔いが回って顔が真っ赤になります。2缶も空けると、テレビを見ながらソファで居眠り…。どうしてこんなにも違うのでしょうか?

 どうも、自宅にいると〝油断〟あるいは〝リラックス〟しているためではないかと思われます。リラックスといえば、自律神経の働きが大きく関係します。まず、アルコールは自律神経に直接的な影響を示すことはあまりありません。飲み進めてアルコールの量が増えると、血管が開いて、体が温かくなります。これは自律神経が働いたと考えがちなのですが、実はアルコールが代謝されて生じるアセトアルデヒドが直接血管を拡げるためなのです。

 さて、宴会など外でお酒を飲むときは、お酒を飲む前からある程度緊張していると考えられるので、すでに交感神経が働いています。交感神経はもともと血管を締めて血圧を上げるように働くので、アセトアルデヒドの血管拡張作用を抑えると思われます。

 なので、体が温かくなりにくく、酔いが回りにくいと感じるのです。一方、晩酌の時は、当然ながら、リラックスしています。こういうときは、交感神経はほとんど働きません。そこにアセトアルデヒドが出てくるので、血管はよく開いて、体が温かくなり、酔いが回りやすくなるのではないかと思われるのです。だから、晩酌がとりわけ体に悪いとかいうわけではないのです。

 また、外で飲んでいるときは、アルコールの作用が弱い訳でもありません。酔いが回りにくいのをいいことに、たくさんアルコールを飲むことになってしまいがちです。結局、酩酊、二日酔いといったツケが後からドカンと来ます。ご用心を。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

北海道建設新聞社新卒・キャリア記者採用募集バナー
  • 北海道水替事業協同組合
  • 東宏
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

丸彦渡辺建設が31日付で清水建設の子会社に
2023年05月12日 (17,083)
上位50社、過去16年で最高額 22年度道内ゼネコ...
2023年05月11日 (8,655)
ラピダスの工場新築で関連企業から多数の問い合わせ
2023年05月25日 (7,237)
砂川に複合型施設オープン シロの福永敬弘社長に聞く
2023年05月22日 (4,979)
熊谷組JV、道新幹線トンネル工事で虚偽報告
2023年05月08日 (4,160)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 行政書士 new
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第31回「特に需要が増える繁忙期」。情勢を把握して適切な宣伝を行うと、新規顧客獲得につながるかもしれません。

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第255回「内臓脂肪蓄積」。ポッコリお腹は悪性肥満、生活習慣の改善が必要です。

連載 ごみの錬金術師

ごみの錬金術師
廃ガラス製品を新たな姿に。道総研エネ環地研の稲野さんの研究を紹介。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第32回「確実に伝えたい色」。青と黄色は色覚に左右されにくい「伝える色」です。