おとなの養生訓

おとなの養生訓 第26回「食べる順番」 とりあえずサラダから!

2013年07月30日 18時01分

 宴会ではコース料理が出てきます。和食のコースだと、前菜とか先付けとか呼ばれる料理で始まって、刺身、焼き魚、煮物や鍋といった具合で、だんだん量が多くて腹に応えるものが出てきます。それが終わった頃に、「お食事!」と称してご飯ものや麺類などが出てきて、お腹はパンパン!とどめはデザートです。

 洋風のコースも同じような感じで、ただ、パンが魚や肉の前に出てくるのが違いぐらいでしょうか。最近の私は、コース料理を全部いただくのは不可能で、結構残してしまいます。どう考えても量が多すぎます。でも、回りを見ると、私より先輩の方々でも、あらかた平らげてしまいます。「太るぞ!」と心配しています。

 前菜や先付けに出される料理は、少量だけど、味がしっかりついた料理が出てくることが多いのですが、これは食欲を増進させる効果を狙っているのだそうです。オマケに同時にビールや発泡性のお酒を飲むと、この炭酸が胃を刺激して、食欲をさらに高めます。だから、あんなたくさん料理を平らげることが出来るのか…。

 ところで、ファミリーレストランなどで、セット料理を頼むと、一番先にサラダが出てきたり、「サラダバー」へ行ってサラダを盛ってくるように促されたりします。なぜか、料理の前にサラダを平らげることになるのです。昔は、味気なくてあまり好きではない順番だったのですが、今は見直しています。

 過食、太りすぎを直すための方策として、食事のはじめにサラダを皿一杯たべて、ある程度お腹を膨らせてから、メインの料理に手をつける方法が推奨されているからです。この方法には、ダイエットのためになる二つの利点があります。

 一つはサラダがあらかじめ胃を膨らませるので、比較的少ない量の料理で満腹感が得られることです。なので、ご飯をおかわりしたり、大盛りにしたりしなくても満足できます。サラダはほとんどカロリーがありませんから、減食につながるというわけです。

 二つめは、栄養の吸収を抑えられることです。野菜にたくさん含まれる食物繊維は、糖分や脂肪の吸収を緩やかにし、吸収を減らす効果があります。これで摂取カロリーが減ります。また糖分の吸収が緩やかだとインスリンの分泌を抑えるので、糖尿病の予防になるのです。

 養生訓は、「とりあえずビールではなく、とりあえずサラダ!」ということになります。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 北海道水替事業協同組合
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (2,969)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,359)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,317)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,231)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (823)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。