宴会ではコース料理が出てきます。和食のコースだと、前菜とか先付けとか呼ばれる料理で始まって、刺身、焼き魚、煮物や鍋といった具合で、だんだん量が多くて腹に応えるものが出てきます。それが終わった頃に、「お食事!」と称してご飯ものや麺類などが出てきて、お腹はパンパン!とどめはデザートです。
洋風のコースも同じような感じで、ただ、パンが魚や肉の前に出てくるのが違いぐらいでしょうか。最近の私は、コース料理を全部いただくのは不可能で、結構残してしまいます。どう考えても量が多すぎます。でも、回りを見ると、私より先輩の方々でも、あらかた平らげてしまいます。「太るぞ!」と心配しています。
前菜や先付けに出される料理は、少量だけど、味がしっかりついた料理が出てくることが多いのですが、これは食欲を増進させる効果を狙っているのだそうです。オマケに同時にビールや発泡性のお酒を飲むと、この炭酸が胃を刺激して、食欲をさらに高めます。だから、あんなたくさん料理を平らげることが出来るのか…。
ところで、ファミリーレストランなどで、セット料理を頼むと、一番先にサラダが出てきたり、「サラダバー」へ行ってサラダを盛ってくるように促されたりします。なぜか、料理の前にサラダを平らげることになるのです。昔は、味気なくてあまり好きではない順番だったのですが、今は見直しています。
過食、太りすぎを直すための方策として、食事のはじめにサラダを皿一杯たべて、ある程度お腹を膨らせてから、メインの料理に手をつける方法が推奨されているからです。この方法には、ダイエットのためになる二つの利点があります。
一つはサラダがあらかじめ胃を膨らませるので、比較的少ない量の料理で満腹感が得られることです。なので、ご飯をおかわりしたり、大盛りにしたりしなくても満足できます。サラダはほとんどカロリーがありませんから、減食につながるというわけです。
二つめは、栄養の吸収を抑えられることです。野菜にたくさん含まれる食物繊維は、糖分や脂肪の吸収を緩やかにし、吸収を減らす効果があります。これで摂取カロリーが減ります。また糖分の吸収が緩やかだとインスリンの分泌を抑えるので、糖尿病の予防になるのです。
養生訓は、「とりあえずビールではなく、とりあえずサラダ!」ということになります。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)