おとなの養生訓

おとなの養生訓 第29回「苦味の効用」 胃腸の運動を〝活発化〟

2013年09月17日 17時14分

 苦味はおとなの味です。子どもは基本的に苦いものが苦手です。コーヒーやサンマのはらわたなどを好んで口にする子どもはいません。なぜなら、もともと苦味は食べてはいけないもの、すなわち毒物の存在を示す危険信号であったと考えられるからです。だから薬は基本的に苦いのです。

 もともと薬は、例えばトリカブトやドクダミなど毒性を持つ植物から作られているからです。という訳で、子どもは本能的に苦味を嫌うのです。ところが、おとなになるとこの苦味が、とても大事になりますね。

 コーヒーやお茶はもちろん、なんといってもビール!苦くないビールなんてのみたくありません。サンマのはらわたや、チョット苦味のある山菜などは、酒の肴に最高であります。どうやら人は、人生経験を重ねることで、苦味を美味と感じるようになるようです。だから苦味はおとなの味、人生の重みをかみしめる味なのです。

 ところで、苦味は胃腸にとっては思わぬ効用があります。それは、苦味を感じると胃腸の運動が活発化するということです。そこで、胃腸の調子を整えて食欲不振に効果がある健胃生薬には苦味剤とよばれる苦味の成分が必ず配合されます。

 苦味剤が効果を発揮するためには、くすりを口に含んで「苦い!」と感じなければなりません。苦味を我慢して少し口に貯めてから、のみ込むと効果抜群であります。こう考えると、食前にビールを一杯飲むことや、食後にブラックコーヒーをすするのは、案外理にかなっていることが分かります。

 かつての研究で、苦味の度合いを測る標準物質としてキニーネという薬物が使われていました。キニーネはマラリヤの特効薬として有名で、猛烈に苦いのです。キニーネはキナという植物の皮から抽出された薬物ですが、これを水に溶かして健康によい水として売り出されたのがトニックウォーターです。

 トニックウォーターのカクテルと言えば、なんと言ってもジントニック!1次会で食べ過ぎたあと、2次会のスタートにジントニックはいかがでしょうか?ほのかに苦く飲み口さっぱりで、お腹もじきに楽になりますよ。出来れば居酒屋で出される出来合いのじゃなくて、腕のいいバーテンダーのいる、チョット小粋なバーなんてどうです?

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

株式会社クリエイター
  • 日本仮設
  • 北海道水替事業協同組合
  • オノデラ

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

自動運転車と鉄道を併用 第二青函トンネルJAPIC...
2020年11月05日 (8.6k)
ニトリが石狩湾新港に物流施設新設...
2020年11月06日 (2.1k)
20年度内開通へ急ピッチ 函館新外環状道路空港道路...
2020年11月21日 (1.8k)
霧立峠トンネル掘削進む...
2020年11月10日 (1.7k)
伊藤組土建が首位に 20年度上半期のゼネコン道内受...
2020年11月12日 (1.7k)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 サハリン・スケッチ new

サハリン・スケッチ
稚内市サハリン事務所の三谷将所長に、四半期ごとの定期連載で現地の様子を伝えてもらいます。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第2回「赤は目立たない色?」図面や変更指示書を作成する際は、色だけに頼らない工夫や電話での確認が大事です。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第2回「一万超の許認可が主戦場」前職の経験などを生かしそれぞれの行政書士が得意分野を持って業務に当たっています。

連載 おとなの養生訓new

おとなの養生訓
第196回は「見えない感染」。手洗い、三密回避、マスクを着け、直接接触を避ける。お互いを思いやって頑張りましょう。