廃校活用で地域再生へ 公共建築の日フォーラム

2017年11月11日 07時00分

 北海道開発局などが主催する公共建築の日フォーラムが9日、札幌市内の札幌エルプラザで開かれ、少子高齢化で廃校が進む学校建築にスポットを当てた。北方建築総合研究所の松村博文地域研究部長は、まちづくりの視点から人口減少時代の公共建築ストックの活用について基調講演。パネル討論では、廃校の有効活用を軸に地域再生の在り方を探った。

 2002―15年度の都道府県別公立学校廃校発生数は、北海道が688校と最多。2番目に多い東京都の倍近くとなり、全国の約1割を占める。道内のほとんどの市町村では廃校問題が喫緊の課題となっている。

 しかし、学校建築は床面積の大きさから単一用途が難しく、用途変更のコストや、空調系統が個別管理されていない点などから活用が難しい。

 松村部長は「住民が関わることで壁を突破できる。考えるだけではなく、自分たちが運営するという方向性が必要になる」と話し、地域のニーズに対応したコンバージョンや、時代に即したリノベーションの必要性を示唆した。

 時代のニーズにマッチした活用例として、障害者就労施設と高齢者住宅に改修した古平町の旧古平高、生徒数減少に伴って減らした教室空間に役場支所やコミュニティーセンターを設けた旧積丹町の余別小などを紹介。

 一方、郷土資料館など博物館系の活用は、再訪させるための展示や長期運営が困難な場合もある。改修費用や立地、管理運営の担い手など将来を見据えた活用と除却の検討が必要になるとして、「建築ストックは使ってなんぼ。保存のための保存になっていないか考えるべき」と訴えた。

 既存建築の優位な点については「モノが既にあるので、改修前に本当にニーズに見合うか試せるところ」とし、試しながら必要な改修箇所や適切な活用方法を探ることを勧めた。

 続いて、松村部長、北大大学院工学研究院の小沢丈夫教授、北広島団地地域サポートセンター「ともに」の向山篤管理課長の3氏がパネル討論を行った。

 小沢教授は、長期的使用を視野に使い手の自由度を高くしたオランダの建築文化と、畳みやふすまを変えて使い続ける従来の日本の家文化に共通点を見い出した。「リノベーションは特別なことではない。長い歴史の中で建物をずっと使い続けることは極めて当たり前のこと」と主張した。

 北広島市の「ともに」は、市がプロポーザル方式で無償貸与した旧緑陽小跡地を改修し、サ高住や高齢者グループホーム、子育てスペースなどで構成する複合施設として活用している。

 向山課長は、地域住民が主体となって草木の手入れに訪れたり、児童の放課後のたまり場になるなど「世代を超えた交流の拠点になっている」と報告し、「地域づくりで行政、住民、法人が三位一体になることが重要」と話した。

 松村部長は「公共建築ストックの活用は地域コミュニティー再構築の強力なツールになる」として、「うまくストックを使ってコミュニティーをつくり直すという発想が極めて重要になる。それがきっかけで住民による地域運営が動きだす」と呼び掛けた。


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