おとなの養生訓

おとなの養生訓 第42回「繊細な味覚」 子供時代に何食べたか

2014年03月28日 15時43分

 和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたとか。日本国民としてはたいそう喜ばしいことです。和食の特徴としては、低カロリーで栄養バランスがいいこと、食材の種類が実に豊富なこと、盛り付けが美しいことなど、いろいろ思い浮かびます。

 以前、外国からのお客さんをもてなしたとき、日本らしいものとして、「そば懐石」のお店にお連れしたのですが、「ヘルシーなのは、当然だが、そばという素材だけで、どうしてこんなに色々な料理を作り出すことができるのか!?」と感心された覚えがあります。確かに、もりそばだけでなく、揚げそば、そばがき、そば味噌、そば茶など、いろんな料理に変化していました。このあたりの技の細かさも和食の真骨頂でしょう。

 でも、同じ素材を色々な料理に変化せることができるのは、単に手先の問題だけではないように思います。私が思うに、日本人は繊細な味を見分ける力に優れていると思うのです。つい先日、ある居酒屋で出してもらった焼き海苔がうまくて仕方がありませんでした。

 上燗のあては、味が強いものはお酒を台無しにします。程よくあぶった焼き海苔に、ちょっと本ワサビを乗っけて、溜まり醤油をすくって、口に放り込む。焼き海苔の香ばしさ、ほのかな塩味と甘さ。これを引き立てるワサビの香りと溜まりのあまじょっぱさ。酒のうまいこと!唸ってしまいました。こんなものさらりと出してくる板さんって、すごい!

 生理学の研究によると、人の味覚が確立するには、子供時代に何を食べたか、その経験がものをいうのだとか。子供時代には嫌いな味だとしても、それを経験しておくと、大人になってから味覚の幅が広がるのです。そういえば、子供のころ、ぐちゃぐちゃに混ぜたシチューみたいな食べ物ばかり食べているアメリカの人は、味覚が大雑把なような気がしますし、実際、あちらでも子供時代に与えられた料理に問題ありとしている研究者もいます。

 日本人が文化遺産となった和食を、今後も継承し育てていくことができるかどうかは、今の子供たちに、何を食べさせるかにかかっているのです。やっぱり、ハンバーガーやピザや牛丼だけでは、大雑把な味覚にしかならないでしょう。みなさん、お子さんの味覚を考えてください。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 古垣建設
  • web企画
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (2,956)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,354)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,296)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,258)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (905)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。